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Lifestyle

「ホワイトデー」のお菓子は甘口ワインで【三澤彩奈のワインのある暮らし】

「甲州」の名を世界に知らしめた女性醸造家の三澤彩奈さん。毎日の暮らしからワインが彩る風景を綴ります。「バレンタインデー」と「ホワイトデー」に合わせてこの時季はチョコレート、クッキー、キャンディーなどたくさんのスイーツが店頭に並びます。三澤さんがブドウ畑の冬の風景とスイーツに合うワインを紹介します。

冬の静かなブドウ畑に、剪定鋏が枝を刻む音と小鳥たちのさえずりが響きます。
剪定とは、昨年実をならせた枝や、年を重ねた枝を切り整える作業です。剪定作業により、今年のブドウの品質と収量が決められると言っても大げさではありません。ブドウ樹の野生化を防ぐ目的もあり、とても大切な作業です。

冬のブドウ畑 澄んだ空気で風景に透明感、雪景色も  

この時期のブドウ畑の空気は極めて澄んでおり、見渡す風景の透明感が増すようです。
一面の雪景色となった今年2月中旬の積雪。普段はタフなブドウの樹も、寒さは苦手のようです。2014年には、二度の降雪によって160センチメートルほどの高さに積もったこともありました。自然がどのような影響をブドウ樹に及ぼし、どのようにワインの味わいに美味を与えていくのか、またとないヴィンテージを大切にしながら今年もブドウを育てていきたいと思います。

里山で暮らす人々の知恵やたくましさも好きです。山梨県北杜市明野町に位置する三澤農場の北側には八ヶ岳が高々と連なり、時折音を立てて北風が吹き付けます。この辺り一帯は、土壌の特性を生かした大根の産地としても知られ、冬になると農家の片隅に一斉に干された大根を北風「八ヶ岳おろし」が乾かしていきます。 昆布出汁のベースに大根をたっぷり入れたお鍋と、この産地で造られた白ワイン甲州が良く合います。

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干し柿はドライフルーツとしてワインのおともに

私の地元である山梨県の勝沼町でも、ブドウの収穫が終わる頃になると「笹子おろし」と呼ばれる山風が吹き抜けます。この寒風を利用して作られるのが干し柿です。甲斐八珍果の一つとしても知られる柿ですが、勝沼では「百目(匁)柿」という大振りの柿を剥き、長い期間をかけて天日干しにします。毎年、11月頃から12月にかけて、民家の軒先に垂れる干し柿のカーテンは地元の風物詩ともなっています。

幸い山梨の秋から冬にかけてはからっと晴れることが多いのですが、原料となる柿の品質そのものだけではなく、柿を干し始める時期の湿度も出来上がりに左右します。ワインのみならず、農産物にはヴィンテージがあることを実感します。 山梨では、干し柿はドライフルーツとしてワインのおともとしても楽しまれ、クリームチーズを挟んでも美味しく召し上がっていただけます。

ブドウ畑の風景そのものがワインになる【三澤彩奈のワインのある暮らし】

濃厚なガトーショコラには、ポートワイン

非発泡性のワインにおいては、4g/L以下の残糖分の場合に辛口と呼ばれます。糖(甘味)とバランスをとる酸(酸味)が強い白ワインなどで例外もありますが、これが国際的な基準となっています。甘口ワインは、酵母が果汁に含まれる糖をアルコール分解していく発酵を途中で止めることにより、ブドウの糖分がそのままワインに残ることになります。

日本では、2月はバレンタインデー、3月はホワイトデーなどの機会にお菓子を贈り合うことも多いと思いますが、フルーツやお砂糖の甘さには、やはり甘口のデザートワインが合います。例えば、濃厚なガトーショコラには、酒精強化という醸造法で造られた少しアルコールが高めのポートワイン。ワインの香りはブドウそのものや、酵母などの微生物が生み出す“自然体”の香りで構成されていますので、合わせるスイーツは、香料が強過ぎないものや風味液、人工甘味料などが使われていないお菓子の方が素直にマッチするのだろうと思います。

フランスに留学していた時代、「ボワシエ」というパリの老舗洋菓子店のフルーツキャンディーや、スミレの花香キャンディーを好んで買っていました。フランスらしいクラシックな容器に入り、ひとつひとつ手作りされたような中身は愛らしく、そうかと言って可愛らしすぎず、ちょうど良いバランスで乙女心をくすぐるものでした。 日本には直営店がまだ未上陸のようですが、ご贈答用に使われるこの時期には、デパートなどでも見かけることがあります。気になる方は是非チェックしてみてください。

【三澤彩奈のワインのある暮らし】女性醸造家が語る「夏に楽しむロゼ」

1827年に創業したボワシエのお菓子

人生で最も忘れられないスパークリングワインの味【三澤彩奈のワインのある暮らし】

Profile

中央葡萄酒株式会社 栽培醸造責任者 三澤彩奈

山梨県の中央葡萄酒4代目オーナーの長女として生まれる。ボルドー大学ワイン醸造学部を卒業し「フランス栽培醸造上級技術者」の資格を取得。2007年に中央葡萄酒の醸造責任者に就任。栽培と醸造に取り組む。2014年に世界的ワインコンクール「デキャンター・ワールドワイン・アワード」の金賞を日本で初めて受賞。甲州ワインの名を世界に。「グレイスワイン」は海外で最も飲まれる日本ワインに成長。2021年11月、「甲州」の新たな魅力を引き出した「三澤甲州2020」を発売。
「グレイスワイン」のウェブサイトはこちら

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