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お金を増やすために、まず知っておきたいこと

1990年代初頭に起こったバブル経済の崩壊以降、日本経済の成長は緩慢なまま推移している。とくにここ数年の傾向として、物価の上昇に反して給与は上がらないといった状態となっている。反面、2020年12月に厚生労働省が発表した資料によると、日本人男性の平均寿命は81.49歳、女性は87.60歳と、世界の中でも代表的な長寿国と呼ばれる水準に達した。

これまでの60歳で仕事を終え、年金に頼る生活が成り立っていた時代から大きく状況は変わり、働き方を考えるだけでなく、自分のお金は自分で守る、育てるという考え方が重要になっている。お金に関する情報も氾濫する中で、どのように自分のお金を資産として運用していくのか? 学んでいくことが必要だ。

 自分でためた大切なお金を、無理なく運用していくためには、基本的な知識を得て、増やし方の基本を理解していくことが大切だ。今回は銀行勤務から留学を経て、金融コンサルタントとして活動する大槻博史氏に、お金を運用する基本となる知見についてQ&A形式でお伺いしてみた。

給与が上がらない問題

 ―バブル崩壊以降、不景気となり給与はあまり上がりません。また、ここ数年は物価の上昇が続いています。給与が上がらないまま、物価が上昇するのはなぜですか?

給与が上がらない問題と物価上昇を分けて、主な要因を考えたいと思います。

人々の消費意欲が増えるとお金が使われ、企業の売上利益も増えて賃金も上がり、また消費が増えるという理想的なサイクルとなります。

日本企業も世界で競争しなければならず、購買意欲をそそる商品やサービスを生み出すために労働生産性(売上利益/従業員数)が高くなる優秀なチームや人材が必要になります。

売上利益に貢献している社員が多ければ労働生産性は上がります。賃金は利益の中から支払われますので、労働生産性が低い企業は利益率も小さく、賃金を上げるのが難しい状況です。日本は労働規制が強く、自分の強みを生かせる企業への転職も活発とは言えません。そのため企業の労働生産性が上がらず、全体的に賃金が上がらない大きな要因になっていると思われます。

物価上昇の原因は日本だけの問題ではありません。

供給より需要が増えると物価は上がります。これまで消費に活発でなかった国の人々も活発になってきました。中国がよい例です。世界中で消費が活発になり消費が供給を上回っています。身近なブランド品なども良い例です。また、ウクライナの戦争で物流も遅れ、供給不足に拍車をかけています。輸入に頼る日本の場合、円安がさらに物価を押し上げています。物価上昇に賃上げが追い付かない状況です。

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Profile

大槻博史

1969年生まれ。同志社大学商学部卒、JAIMS(日米経営科学研究所)マネジメントプログラム、UCバークレーExtension ITビジネス、ファイナンス修了。


金融機関勤務を経て、2005年よりHIRO International Consultingとしてアセットマネジメント業務に従事し主に投資助言業務を行う。


事業再生、マーケティング、ファイナンス業務に精通し、各企業へのコンサルティングを行っている。個人ではS&P500連動の投資商品への積み立て投資を中心に資産形成を行っている。

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