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京都・紅葉の名所めぐりに自転車のススメ【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

京都御苑の紅葉

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、和の情緒を満喫できるとして人気の宿を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチします。今年の紅葉の締めに、日本屈指の紅葉スポット・京都へ出かけませんか。地元を知り尽くすおかみがとっておき情報をお届けします

karigane の下岡です。二十四節気の小雪も近づいてきて、いよいよ京都の秋もクライマックスを迎えています。そこで前回に引き続き、京都の紅葉の楽しみ方をご提案します。

京都のガイドブックをめくれば、数限りなく紅葉の名所が挙げられています。永観堂、南禅寺、東福寺といった東山エリアが定番です。

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私がおすすめしたいのは、紅葉を愛でながらのサイクリングです。そもそも京都は平坦で、碁盤の目のように道路が整備されているので、旅人でもサイクリングがしやすい街。自転車を使えば、公共交通機関では見逃してしまう「素顔の京都」を、余すことなく楽しむことができます。

鴨川沿いの紅葉

例えば鴨川の河川敷。はるか東の比叡山から大文字へと連なる山並みが、紅葉で色とりどりに染まります。昔の人が秋の山をさして「山装う」と表現されたそうですが、言い得て妙だなと唸らされます。

他には、イチョウ並木が美しい堀川通も美しいですし、自転車を押しながら京都御苑内を散策し、紅葉の下のベンチでピクニックするのも楽しいです。

堀川通りのイチョウ並木

サイクリングの途中で休憩される場合は、鶴屋吉信さん本店がおすすめです。こちらの2階にある菓遊茶屋では、熟練の職人さんがなんと目の前で京菓子を仕上げてくださいます。

「鶴屋吉信」本店の店頭

京菓子とは、美術作品と言ってもよいほどの美しい和菓子で、主にお茶会などで抹茶とともに供されます。「うちでは伝統的な意匠を大切にしてます。見る人の想像を掻き立てるのが京菓子の魅力なんですよ。」とは、この道30 年を超えるという職人の水江政彦さん。こうして職人さんとお話できるのも、とてもいい思い出になると思います。

鶴屋吉信本店内にある「菓遊茶屋」

私たちがいただいたきんとんは、「錦繍(きんしゅう)」とお銘がついています。色づく秋の山並みが表現されており、季節の進み具合とともに配色も変化するそう。私たちが訪れたときには緑が入っていましたが、この記事が公開される頃には、より艶やかな装いになっていると思います。

和菓子職人の水江政彦さん

ちなみにお抹茶は、京都府産の宇治抹茶を、宇治の茶師の方が鶴屋吉信の茶寮のためにオリジナルブレンドで仕上げたものだそう。しっかりとした旨味と香りでありながらも、和菓子の美味しさを引き立てるスッキリ感でした。ちょっと背筋がのびるような心地よい緊張感は、感性を刺激してくれます。菓遊茶屋で五感が研ぎ澄まされれば、京菓子の味のみならず、街の空気、季節の風、京都の美しさを、より一層楽しむことができるはずです。

鶴屋吉信の秋の上生菓子「錦繍」

撮影・構成:下岡広志郎

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【鶴屋吉信 本店】 住所 :〒602-8434 京都府京都市上京区今出川通堀川西入る TEL:075-441-0105 営業時間: 1階 ショップ 9:00~18:00  2階 菓遊茶屋/お休み処 本来は9:30~18:00(L.O. 17:30)ですが、当面の間 10:00~17:00(L.O.16:30)となります。 公式HP:https://www.tsuruyayoshinobu.jp/shop/head#shop-d102

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。 karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/  Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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