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京都・大徳寺で女性も楽しめる盆栽の魅力を発見!【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、和の情緒を満喫できるとして人気の宿を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチします。今回ご紹介するのは京都で初の盆栽庭園です

京都初の盆栽庭園がオープン

こんにちは karigane 女将の下岡です。今日10月8日は寒露。秋の長雨の時期を経て秋が深まり始める頃を指します。柿、栗、お芋などが美味しい実りの秋が、本格的に到来となりました。

今回ご紹介するのは、私たちの宿 karigane からもすぐ近く、京都で初めてオープンした芳春院盆栽庭園です。場所は大徳寺。千利休を始めとする文化人が茶会を開いた、茶の湯文化で有名な禅のお寺で、茶室や枯山水庭園が有名です。

実は「枯山水」と「盆栽」は、これまでありそうでなかった組み合わせ。芳春院の和尚様秋吉則州師と盆栽家の森前誠二さんの、⾧年の親交を経て実現した庭園です。

盆栽庭園には約30点の盆栽が展示されています。写真は五葉松 銘「大納言」

盆栽と聞くと、気難しいおじいさんの趣味で、立ち入りにくいイメージがありませんか? しかし、「先入観を持たずに、素直な気持ちで鑑賞してみてください。『お、この盆栽なんだかいいな』と気に入ったものを探してもらったらいいと思いますよ」と、森前さんはおっしゃいます。

一位 銘「謙信峠」は樹齢800年。迫力のある幹

たとえばこちらの一位(イチイ)は樹齢およそ 800 年、戦国大名の上杉謙信が姉夫婦に送ったとのいわれを持つ盆栽です。謙信公が思わず目を留めたその存在感、また戦国時代から令和の時代まで多くの人が受け継いできたことに、感動します。

五葉松に木彫の歌仙(右下)と掛物の「雪月図」を添えて

うっすらと月の描かれた掛け軸と、白く⾧い髭の翁の彫像とあわせ飾られることで、盆栽の五葉松がまるで仙人の暮らす山中の巨木のように見えてきます。霞のかかった月の美しい秋。なにやら翁とともにお酒を一献傾けたくなります。

盆栽庭園の室内展示

紅葉や実りが楽しみなのは、盆栽でも同じです。こちらは楓の寄植え。膝をかがめて見上げると、まるで大樹に囲まれた森の奥へと誘われるような気持ちになります。季節とともに葉が色づくのが、待ち遠しくなります。

楓の寄せ植え

こちらは柿。寒い冬や暑い夏を乗り越え実を結んだその姿を見れば「よく頑張ったなぁ」と愛おしく感じます。盆栽に、自分自身を重ねてしまうからかもしれませんね。

実りの秋

今年は盆栽の祭典「大観展」も開催される様子です。皆さまも、京都で小さな秋をみつけてみてはいかがでしょうか。

撮影・構成:下岡広志郎

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【芳春院盆栽庭園】 所在地:京都市北区紫野大徳寺町55龍泉庵 開門日:無休(展示品の入れ替え、手入れのため不定期で休園)10:00~16:00(閉門 16:30)

Profile

下岡莉香

しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。 karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/  Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja

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