白露・「今宵堂」の酒器で菊酒を楽しむ【町家宿おかみの、たびする京都くらす京都。】

京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、町家のたたずまいはそのままに、細部までこだわった内装で訪れた人を温かく迎え入れる。2017年の開業以来、和の情緒を満喫できる宿として人気だ。そんな「karigane」を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチします
京都・洛北、紫野にある町家宿「karigane(かりがね)」。昭和初期に建てられた京町家をリノベーション、町家のたたずまいはそのままに、細部までこだわった内装で訪れた人を温かく迎え入れる。2017年の開業以来、和の情緒を満喫できる宿として人気だ。そんな「karigane」を夫とともに営む下岡莉香さんが、四季折々の京都の表情をスケッチします
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こんにちは、karigane女将の下岡です。
9月、秋虫の鳴き声とともに夕涼みを楽しめる心地よい季節となってまいりました。
今回は、秋の夕涼みをさらに楽しいものにしてくれる、かわいい酒器をご紹介します。
「今宵堂」さんは、市営地下鉄北大路駅から徒歩5分のところにある、酒器専門の陶芸工房兼ギャラリー。私たちの宿kariganeからも自転車ですぐの距離です。
こちらで販売されている酒器は、工房を営む上原連さん梨恵さんご夫妻によって作陶されたもの。「のん兵衛の常連さんからアドバイスを頂いたり、骨董からインスピレーションを得たり、あとは、日本各地で展示会をするのですが、その時のテーマから着想したりして作陶しています」と話す連さん。
盃、碗、皿、箸置き……いずれの器も、料理を引き立ててくれるシンプルさと、テーブルを彩ってくれるかわいらしさを兼ね備えています。
もちろん上原さんご夫妻もお酒が好きで、夕食の前に「晩酌」することが、お二人の約束なのだそう。梨恵さんいわく「京都は個人商店が多いので、毎日の晩酌のあて探しがとても楽しみなんです。お宿のある新大宮商店街も面白いお店が多いですね」。お二人が日々の暮らしを楽しまれる姿が目に浮かびます。
「夫婦で一緒に仕事をしていて、職場も住まいもこの町家だから、晩ご飯とは別に晩酌の時間を持つことが、とてもいい区切りになるんです」とは連さん。私たちも夫婦で宿を営み昼夜一緒に過ごしていますから、こころとからだのオンとオフを切り変えるちょっとした「儀式」のような時間がとても大切だと実感しています。
もしかすると読者のみなさまのなかにも、ステイホームやリモートワークで仕事とプライベートに区切りがつけにくくなり生活リズムを崩しがち、なんて方もおられるのではないでしょうか。
9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」。上巳(じょうみ)の節句や端午(たんご)の節句とおなじ「五節句」のひとつで、菊の節句とも呼ばれています。平安時代の貴族社会では、菊の花に綿をかぶせて夜つゆを吸わせ、その綿で体を拭い健康を祈るなど、菊を用いた儀式が行われていました。
なかでも私たち現代人にも取り入れやすいのが、菊の花弁をお酒に散らして香りをうつし楽しむ「菊酒」です。今宵堂さんの酒器は菊の黄色がよく映えて、疲れたからだとこころを癒やしてくれます。
みなさまも、お気に入りの酒器と菊酒で、季節の節目を楽しまれてはいかがでしょうか。
photos:下岡広志郎
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【SHOP DATA】 酒器 今宵堂 住所:〒603-8131 京都市北区小山上内河原町 52-5 電話番号:075-493-7651 営業時間:主に土・日曜日の 12 時~18 時。お休みの日もあるので、公式HPをご覧ください。 公式HP:http://www.koyoido.com ご夫婦の日々の晩酌の様子は各SNSでご覧いただけます。 Instagram:https://www.instagram.com/koyoido/ Facebook:https://www.facebook.com/koyoido Twitter:https://twitter.com/koyoido
下岡莉香
しもおかりか 大阪府出身。奈良女子大学卒業後、繊維商社で生地輸出を担当。より活躍できる場を求めて退社後、夫婦で1年5ヵ月44ヵ国世界一周の旅へ。日本文化の奥深さに目覚め、町家一棟貸しの宿kariganeを開業。一児の母。 karigane公式HP:https://rokushou.net/karigane/ Instagram:https://www.instagram.com/karigane.kyoto/?hl=ja
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