【国際女性デー】 リーダーシップを発揮する女性からのメッセージ。カルティエ ジャパン プレジデント＆CEO 宮地 純さん

誰もが輝く社会にコミットする

カルティエには社是というべきパーパスがあります。その一つに「Cartier designs timeless pieces and celebrates beauty and individuality（カルティエはタイムレスな作品を作り、美しさと個性をたたえる）」。この「美しさ」には、人としてのあり方や生き方も内包するものだと解釈しています。こうした考え方は、クリエーションでもビジネスの発展の上でも紡がれており、現在に至っています。

1933年、3代目のルイ・カルティエはハイジュエリーのクリエイティブディレクターとして、女性のジャンヌ・トゥーサンを大抜てきしました。トゥーサンは、独創性と確かな審美眼、強い個性を持った女性でしたが、当時女性が働くということ自体が決して当たり前ではなかった時代に、こうした形で女性を起用するのは画期的なことでした。

ルイ・カルティエがもし今の世に生きていて、「『カルティエ』は誰もが輝く社会にコミットする」と説明したら、「当然でしょう」という答えが返ってくると思います。誰もが自信を持って生きられる社会を応援していく。そして自立して、前に進んでいく女性を応援していく。

フランスの経営大学院INSEAD（インシアード）の教授によるモラルの進化についての講義で、衝撃を受けたことがありました。人間の歴史は100年ごとに進化があるといい、「22世紀には『21世紀には女性活躍推進が叫ばれていたね』と言われるようになるといいね」と。そもそも「女性活躍」という言葉を使わなくてもいい社会になることが重要だと考えています。

カルティエは、これまでも女性に向けて多面的なサポートを続けてきました。

例えば、2006年から始まった「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ」。社会の様々な課題を解決しようとする女性起業家を支援しています。女性の起業家のほうが男性の起業家に比べて、お金や人的資源を獲得しにくく、孤独になりやすい。だから女性同士のコミュニティーなどでのサポートやトレーニングプログラムを提供することで、ビジネスを加速させ、社会を良くするパワーにしていくという形をとっています。

また世界で貧困に苦しむ地域でも、特に支援を必要としている女性や子供の生活改善に取り組む「カルティエ フィランソロピー」を2012年に設立しました。

日本では、2025年大阪・関西万博で、内閣府、経済産業省、日本国際博覧会協会とともに「ウーマンズパビリオン」を出展します。カルティエが、女性が直面している課題に焦点を当てることを目的として初めて出展した2020年ドバイ万博のパビリオンを引き継ぐ形となっています。

大阪・関西万博では、性別、人種、年齢、能力に関係なく、どんな人が来館しても、何かが自分ごととして心に刻まれるインタラクティブ性を盛り込んでいきたいと思っています。

interview & text: 宮智 泉（マリ・クレールデジタル編集長）

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