×

【国際女性デー】リーダーシップを発揮する女性からのメッセージ。日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)チェア(理事長) 高田春奈さん

3月8日は「国際女性デー」。1904年3月8日、ニューヨークで女性労働者が参政権を求めてデモを行ったことが起源となり、1975年に国連によって制定された日だ。多様性や違いを受け入れ、男女を問わず生きやすく、そして活気ある社会を作っていくにはどうすればいいかをみんなで考える日であり、世界中で様々なイベントやデモなども行われる。各界で活躍する女性たちにそれぞれの取り組みや思いを聞いた。

女子サッカーは社会に変化を与えていく

女子サッカーは、サッカーという、たぶん世界で一番愛されているスポーツというベースがあり、男子と女子がまったく同じルールで行われています。でも、日本では男子の競技人口が圧倒的に多い。女子の選手の登録者は全体の6%にとどまっています。

世界では今、女子サッカーに力を入れ始めています。もっと盛り上げようというのは、FIFA(国際サッカー連盟)の方針でもあります。例えば、アメリカは女子の競技人口が多く、女子サッカーの位置づけが高い。世界ランク1位になり、事業としても安定している。法律上、サッカーひとつとっても男子と同じように女子を扱わなければなりません。こうした背景もあり、サッカーといえば基本的に女子のスポーツだと、アメリカ人が言うくらい、女の子が憧れるスポーツになっています。

また、ヨーロッパではもともとサッカーが文化として根付いているなかで、女性も男性と同じように環境を整えるという社会的要請もあり、強豪チームが女子のチームを作り始めています。そして、そこに投資をするのは当たり前という空気になっています。

WEリーグは2020年7月に設立されました。WはWOMEN( 女性)、EはEMPOWERMENT(エンパワーメント)。「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」ことを設立理念としています。

女子サッカーは「スピードが遅い」とか「パワーが足りない」とネガティブに捉える人たちもいますが、女子は技術も高いですし、フェアプレーの精神も表れやすい。でも男性指導者が女子の選手に教える際、「あなたたちは蹴る力が足りないのだから」とネガティブな表現を使うことが多く、選手たちの自己肯定感もそがれやすくなってしまう。常に男性との比較で語られるからなのでしょう。自信が持てるようになれば、魅力も増します。

女子サッカーを通じたスポーツの活性化や地域振興を目的に、東京・渋谷区と連携協定を結びました。渋谷区は多様性への取り組みも積極的で、国際的な地域でもあります。また、女子サッカーをもっと身近に感じてもらおうと、昨年10月にWEリーグの情報発信拠点「Homeof .WE」を渋谷にオープンしました。海外のサッカー関係者から「ヨーロッパやアメリカでは見たことがない」とか「すごくいい取り組みだ」と言われます。

今、日本の女子サッカーを応援しているのは男性が中心です。だからこそ、もっと女性にもサッカーを見てほしいと思っています。思いも寄らぬ感動があったり、勇気をもらったり。楽しいというだけでなく、ふだん自分たちが感じているフラストレーションとかやるせなさなども、女子の選手を見ていると忘れられる。女子サッカーが強くなったり、選手たちが有名になったりしていくことで新しい価値を生み出し、社会に変化を与えていく。それ自体が女性の地位の向上にもつながっていくはずです。

interview & text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)

【国際女性デー】 リーダーシップを発揮する女性からのメッセージ。カルティエ ジャパン プレジデント&CEO 宮地 純さん
【国際女性デー】リーダーシップを発揮する女性からのメッセージ。駐日英国大使 ジュリア・ロングボトムさん
【国際女性デー】リーダーシップを発揮する女性からのメッセージ。モデル、ラジオナビゲーター 長谷川ミラさん

Profile

高田春奈 Haruna Takata

長崎県出身。国際基督教大学、東京大学卒。東京大大学院教育学研究科博士課程在学中。ソニー勤務を経て、ジャパネットホールディングス取締役などを歴任。2020年、JリーグのV・ファーレン長崎社長に就任。2022年3月、Jリーグ理事、日本サッカー協会(JFA)理事。同年9月にWEリーグチェアに就任。現在、なでしこリーグ理事長、JFA副会長、Jリーグ特任理事も務める。

リンクを
コピーしました