【国際女性デー】リーダーシップを発揮する女性からのメッセージ。モデル、ラジオナビゲーター 長谷川ミラさん

Z世代から、ハッピーな連鎖を生んでいく

20歳の時に、オールジェンダーに向けたファッションブランド「JAMESIE」（現・Jam apparel）を立ち上げました。私自身、子どもの頃からメンズの服を着ていたんです。身長が高く、スカートが好きではなかったので。サイズが合って自分らしくいられるから着ていたら、「メンズライクでいいね」と言われて、洋服とジェンダーを結びつける必要があるのかなと思うようになりました。

小さい頃から、社会的な発信をする海外のエンターテイナーを見て育ちました。12歳で芸能の仕事を始めて、自分もそういう人になりたいな、と。ロンドンのセントラル・セント・マーチンズに留学していた時、ブレグジット（EU離脱）の最中だったこともあって、若い人の間でも政治などへの関心が高かったんです。一方、当時の日本では話しづらい空気があった。それで、日本で社会問題に関する継続的な発信を始めました。

7年ほど経ち、社会問題への関心が高まっていると感じますね。若い世代は投票率が低いと言われますが、必ずしも政治に興味がないわけではないと思います。政治不信があったり、声を聞いてくれる政治家がいない、投票しても何も変わらないと思っていたりする。でも私が思うに、今の20代は「世の中が大きく変わる」と聞くと怖いと感じる人もいるんじゃないかな。SNSの発言一つが大きな影響を与えたりするケースも見ているから。1票を投じても、大して変わらない。でもちょっとは変わるかもしれない。そのちょっとの変化が今の私たちに必要なのではないか、ということを伝えられたらいいかなと最近は思っています。

ジェンダー・ギャップという点でいうと、私自身は幸せなことに、家庭や学校であまり実感することがなかったんです。ロンドンのルームメイトがフェミニズムやジェンダーに関心があったので、一緒に生活するなかで課題を学んでいきました。フェミニズムは働く女性の話だと思われがちですが、そうではなく、誰もが望む選択ができること、制限されないことが大事なのだと思いますね。

友人からは、年末年始に、男兄弟は何もしないのに女の自分だけ家事をすることになり、家庭内でのジェンダー・ギャップを感じると聞いたりします。私たちの心の中にバイアスがありますよね。「女性の社会進出」というと、女性だけの問題のように聞こえるけれど、そうではない。女性はがんばっていて、特に40代以上の男性のマインドが変わっていないんじゃないかと思います。例えば男性の育休も、制度はあっても取得しづらかったり、取っても家で何をしたらいいかわからなかったり。マインドを変えていかなければならないと感じます。

社会で起きている問題は多角的に取り組む必要がある。それぞれの問題に携わる専門家がいて、私はその専門家と一般の人たちを仲介する存在になりたいと思います。よい連鎖をいかに生んでいくか。かっこよくないと真似したくならないから、楽しそうで、憧れを感じられるように発信していきたい。

「Jam apparel」の服はオールサステナブル。でも最近は、サステナブルをことさら掲げる必要はないと考えています。自分らしくいられて楽しめるものが、当たり前にサステナブル、というふうにしたい。長く使ってもらえることが大切で、「似ている服を持っていたら買わないでね」とも言っています。「この服を着ていたら、環境問題について話しやすくなった」と言われることも。「これ、可愛いね」から、コミュニケーションが広がっていくと嬉しいです。

今は、ハッピーに生きるためのコミュニケーションを生んでいきたいですね。つらいニュースに触れたり、SNSで情報過多になったりして、心に重さを感じている人も多いと思います。自分の機嫌をとってメンテナンスしていこうよ、と伝えたいです。

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