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理屈抜きで見入ってしまう戦後の民衆木版画。その魅力の源泉を東京・町田の郊外で考える【what to do】

社会に鋭く切り込む戦後の版画運動

上野誠『ヒロシマ三部作』より《男》1959年、木凹版、510×320mm、町田市立国際版画美術館蔵

その文化運動とは? 中国の行く末を憂えた魯迅が主導した中国木刻(木版画)が戦後まもなく日本に紹介されて話題となり、各地で巡回展が開かれた。そうした作品に感銘を受けた人たちが中心となって1949年に設立されたのが「日本版画運動協会」。全国のアマチュアも巻き込み、労働や平和などをテーマにした社会運動の手段として、実に多彩な版画が制作された。言わば、社会に切り込む戦後版画運動でもあった。

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小口一郎『鉱毒に追われて』より《治水か破水か》1972年、木版・ポスターカラー、450×710mm、小口一郎研究会蔵
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会期:~7月3日(日)
会場:町田市立国際版画美術館
住所:東京都町田市原町田4-28-1
時間:10:00~17:00 土日10:00~17:30
観覧料:一般900円、大・高生450円、中学生以下無料
URLhttp://hanga-museum.jp

Profile

高橋直彦

『マリ・クレール』副編集長。自宅の物置を漁っていたら、幼稚園の時に作った版画作品がごっそり出てきた。彫刻刀を使わない「紙版画」というものらしい。母親が取っておいてくれたもので、半世紀以上前の拙作。よく見ると、ロシア・アヴァンギャルドの作風にも似ているではないかと勘違いし、このページでの掲載も一瞬頭をよぎったが、思いとどまる分別があってよかった。

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