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10月19日は『国際生理の日』。生理について今一度おさらいしよう

世界中のいたるところで今日も多くの人が生理を迎えている。それなのに、なぜか長年表立って語ることはタブー視されてきた。多くを語り合わないから、正しい知識を得られないということも。『国際生理の日』をきっかけに、生理について目を向けてみよう。


生理は恥ずかしくない、隠さなくてよいことだ。けれども、親しい仲間内で語り合うことは多くない。まして、異性がいる職場などでは敬遠されがちな話題だ。しかし、日本でも昨今、生理に関する捉え方が変わりつつあり、“もっと語ろう”という傾向になってきている。

初潮の平均年齢を12歳とすると、30代のマリ・クレール世代にとっては、すでに20年近くは付き合ってきたであろう生理についておさらいし、より快適に付き合っていく方法を考えてみよう。今回は産婦人科医の福山千代子先生にお話を伺った。

最近は生理の悩みで専門医を訪れる患者も増えてきた

「日本の性教育は、アメリカやヨーロッパ諸国に比べてかなり遅れており、ピルの承認に関しては世界から50年遅れました。近年フェムテック市場は活況で、婦人科医療においても月経困難症治療に用いるホルモン製剤や子宮内避妊システムのミレーナなど以前より選択肢は増えています。数十年前は、生理は病気ではない、という認識が強かったせいか、生理痛のために病院へ行くこともはばかられたのでしょう。しかし、生理痛そのものは病気ではないのですが、日常生活に支障を来すほどの痛みになると『月経困難症』という病名がつきます。最近では生理痛の緩和のためにピルを服用するなど、生理の悩みについて来院される方は以前より増えてきましたね」

サニタリーショーツや布ナプキン、月経カップなど、生理用品の選択肢は広がったが、生理について話し合う機会は、親しい友人同士であっても少ないという声をよく耳にする。だからこそ、自身が正しい知識を持っておくことは大切だ。

そもそも生理になるとなぜ痛みが起こるのか?

「女性の身体はおよそ約1か月に1回、排卵といって卵巣から卵子を排出します。それに合わせて子宮内膜が厚くなり、着床準備を整えます。ところが、受精卵が着床しなかった場合は子宮内膜が不要になり、剥がれて血液とともに体外に排出されます。これが“生理”です。

生理時には、子宮の収縮を促す物質『プロスタグランジン』が分泌されますが、この分泌量が多いと強い痛みを感じます。また、痛みは『プロスタグランジン』の分泌量のほかに、子宮が未成熟で子宮頸管が細かったり、ストレスや冷えなども関係しています」

 生理の血が黒いのは大丈夫?

「経血には子宮内膜が混ざっているので、鮮明な赤と比べると少しくすんで見えることも。排出までの時間が長くなると、膣内で酸化して茶や黒っぽくなることが多いため問題はありません。生理ではないときに血が出たり、経血がだらだらと長期間続く場合は、子宮筋腫や子宮体がんなどの婦人科系の病気も考えられますので専門医へ相談しましょう」

生理痛を軽減する方法

「“生理痛は我慢する”という方がいらっしゃいますが、痛み止めを飲むことがQOL(生活の質)をキープする秘訣です。市販薬でも構いませんし、心配ならクリニックで処方してもらって。また『プロスタグランジン』が分泌されると、子宮周りの血管が収縮し、冷えが進行します。冷えは痛みを増幅させるので、おなか周りを温めることも痛み緩和につながりますよ。入浴も長湯しなければバスタブへ入ってもいいでしょう。もし、バスタブへ入ることが不快ならシャワーだけでもOK。軽いストレッチなどもおすすめです」

ピルの効果や、メリット・デメリットは?

「ピルを飲めば生理が止まると思われている方がいますがピルを内服しても生理が止まるわけではありません。ただし、ピルを内服すると排出される経血の量が減少します。

生理にはエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの分泌が大きく関係しています。ピルにはこれらの女性ホルモンが配合されているので、内服すれば脳はホルモン分泌は必要ないと判断。すると、排卵が休止するため月経や月経に関する症状に変化が起こるのです。ピルの内服によって生理痛が緩和できる理由は、排卵休止に伴い『プロゲステロン』の分泌も減少、前述した子宮内膜が厚くなることを抑制でき経血量も減少させられるからです。

ピルは正しく内服すれば、生理痛(月経困難症)の改善や経血量の減少、PMS(月経前症候群)の改善が期待できます。もちろん、薬ですから副作用もあります。人によっては飲み始めの頃に頭痛や吐き気などを感じる方もいらっしゃいます。そういう方は医師と相談しながら今後の内服について決めると良いでしょう」


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text:Mie Arisumi

Profile

福山千代子(ふくやま・ちよこ)
MET BEAUTY CLINIC
院長。日本産科婦人科学会専門医。日本産婦人科学会・女性心身学会所属。美容医療×婦人科だからこそ取り組むことができる、女性のためのさまざまな医療・美容医療を提案。女性のライフステージに寄り添い、年代ごとの悩みに対して女性ならではの視点と最新の医療で治療に努めるドクター。
MET BEAUTY CLINIC
Instagram:@dr.fukuyama_femcare

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