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建築・デザイン事務所が手掛けるLA発セラミックブランド「OWIU Goods」とは?

まるで地層のように色の重なりを表現したプレートや、小さな宇宙を閉じ込めた鉱石のように神秘的なムードを放つカップ。セラミックブランド「OWIU Goods」のプロダクトには、その一つ一つに自然の荘厳な美しさや唯一性が込められている。LAを拠点に活動する「OWIU Goods」の根底にあるものづくりのフィロソフィーや、発売したばかりの日本限定コレクションを見ていこう。

「OWIU Goods」とは?

2022年にスタートした「OWIU Goods」は、LAにある建築・デザイン事務所「OWIU(Only Way Is Up)Design」の共同創始者、Amanda Gunawan(アマンダ・グナワン)とJoel Wong(ジョエル・ワン)によるセラミックブランド。「OWIU Design」は2018年に誕生し、住居から店舗、家具やインテリアなど、空間に関わる様々なデザインを手掛けている。

「OWIU Design」の共同創始者Amanda Gunawan(アマンダ・グナワン) ©︎OWIU Goods

建築であれ陶器であれ、彼らが生み出すプロダクトには「自然へのリスペクト」が存在している。「OWIU Goods」には「モノと記憶の結びつき」というテーマもあり、拠点があるLAの豊かな自然や旅先での記憶などが色や形となり、暮らしの中に一つの風景をもたらしてくれる。

“made in LA”にこだわったものづくり

「OWIU Goods」のプロダクトからはどこか日本の空気を感じるが、その全てがLAのアトリエで生産されている。材料も地元で調達し、外注は一切せず、4人の職人たちがアトリエで一つ一つ手作業で仕上げている。

MATTER collection Desert ©︎OWIU Goods

プレートやカップ、ボウルやキャニスターは、どれも厚みのあるぽってりとしたシルエットが特徴。テーブルスタイリングを洗練させつつ、料理を引き立ててくれるような落ち着いた色みが美しい。この絶妙な色柄を出すための釉薬の配合に最も時間をかけるという。

アトリエでの手作業の様子 ©︎OWIU Goods

「私たちが生み出すものが、自然を愛でたり、大切にするきっかけになってほしい」。共同創業者であり、クリエイティブディレクターでもあるアマンダはそう語る。

日本各地の旅の記憶を映した“ジャパン コレクション”

今年4月、お披露目された新作“ジャパン コレクション”は、アマンダとジョエル、そしてアトリエチームが約1年前に日本中を旅した記憶と経験から生まれたコレクションだ。「HANAMI」「WATERFALLS」「MOSS GARDEN」「BAMBOO FOREST」「WAJIMA」の5つのシリーズと1冊のガイドブックで構成されている。

「HANAMI」シリーズ ©︎OWIU Goods

花見をテーマにした「HANAMI」は、あと数日で散ってしまう桜のようなはかなさを感じる淡いピンクとベージュのグラデーションが印象的。軽井沢「白糸の滝」の大胆な水の動きや飛沫を表現した「WATERFALLS」、嵐山の竹林の静けさと幾重にも重なる緑色を映し取った「BAMBOO FOREST」、小松の「苔の里」をイメージしたディープグリーンが美しい「MOSS GARDEN」など、日本の各地からインスパイアされた陶器は、まるで彼らの記憶にある景色を具現化したようだ。

手前が「WAJIMA」、奥が「MOSS GARDEN」 ©︎OWIU Goods

石川県輪島市での旅から着想を得た「WAJIMA」シリーズは、紺色の海岸を表現。能登半島地震の発生を受けてチームとしてできることはないかと考え、売り上げの一部を輪島のクリエーターたちに寄付する予定だという。

合わせて刊行されたガイドブック『Japan Travel Guidebook』には、シリーズの解説とともにインスピレーション源となった場所やおすすめのスポットが記されている。彼らから教えてもらう日本の美しさは、私たちとは異なる視点のものばかり。日本の魅力を再発見できる一冊だ。

代官山 蔦屋書店のポップアップストアの様子 ©︎OWIU Goods

これらの“ジャパン コレクション”をそろえたポップアップストアを、代官山 蔦屋書店にて4月18日(木)まで開催中。今年の夏にもポップアップストアにて同コレクションを再販する予定だ。

「OWIU」が没頭する、日本の文化と手仕事

店頭にはプレートや抹茶ボウル、そしてベストセラーであるカップなどがラインナップ。抹茶に関するプロダクトがあるのは、LAでは「MATCHA」が日常に欠かせないものになっているから。コレクションの中で、LAでベストセラーを誇っているのは茶筅立てだというのも面白い。アマンダ自身も毎朝マッチャラテを作るのが習慣だとか。

抹茶ボウル、ボウル ©︎OWIU Goods

彼女らのライフスタイルには日本のエッセンスが欠かせない。最近自分たちでプロデュースしたという自宅には、福島県の「久保木畳」が作った畳を用いたり、若手作家ハタノワタルの作品を置いたり、日本の文化を随所に取り入れている。

こうした日本文化へのまなざしはクライアントワークにも生かされており、アメリカに日本文化を紹介することもあれば、日本の職人や作家が海外に進出する手助けをすることもあるという。

小さなものから大きなものまで、どこまでも誠実な手仕事に愛情を注ぐ「OWIU」。日本を敬愛する彼らが手仕事で仕上げる「OWIU Goods」の小世界に目を凝らしてみてほしい。

text: Azu Satoh edit: Mio Koumura

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関連情報
  • OWIU Goods POP-UP at DAIKANYAMA TSUTAYA BOOKS
    場所:代官山 蔦屋書店3号館1階 料理フロア
    〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町17-5
    日時:2024年4月3日(水)〜18日(木)
    営業時間:9時〜22時
    https://owiu-goods.com/

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