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「陶器の美しさ」を身にまとう Mame Kurogouchiのショー

2024年秋冬パリ・ファッションウィークより現地リポート! 「Mame Kurogouchi」が前回同様、日本文化の複合施設「OGATA PARIS」で最新作を発表。デザイナーの黒河内真衣子が佐賀県を旅して出合った焼きもの「古唐津」と、残された陶片を発想源に追求した美しさを服へと昇華させた。

佐賀県で有名な唐津焼。16世紀後半に開花したとされる「古唐津」に魅せられた黒河内。いにしえの陶工たちのものづくりに思いをはせ、生み出したのが、灰褐色の土色。作陶の過程で変化していくグレーのタッチだ。

かつての陶工が景色や日常の草花を描いた絵唐津。そのシンプルな線は、プレーンなドレスやシャツに取り入れ、独特のアクセントに。

唐津焼の世界を表現するのに、職人の手仕事も生きる。光沢を帯びたワンショルダードレスやオーバーサイズのシャツは、京都の職人がもち米を生地に塗り、乾燥させることで生じるひび割れに染色を繰り返すプロセスを経て、陶器の細かな貫入を再現。またアルパカウールのコートは、手作業で染料を流し込むむら染めで釉(うわぐすり)の色味を表現している。

ショーが始まる前には、黒河内の発想を発展させるもとなった古唐津の陶片や唐津焼、生地サンプルなどを展示し、これらも含め、黒河内の考える世界観が表現されていた。

text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)

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