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「ファッションの現実」を知ったデザイナーの選択を追う。 ドキュメンタリー映画『燃えるドレスを紡いで』

パリ・オートクチュールに唯一参加する日本人デザイナー、中里唯馬に1年間密着したドキュメンタリー映画『燃えるドレスを紡いで』が3月16日(土)より全国で順次公開される。

ケニア スモーキーマウンテン

「ゴミの山からドレスはつくれるか――」という痛烈なメッセージと共に始まる『燃えるドレスを紡いで』は、一人のファッションデザイナーが「現実」に直面した時に何ができるのか。そしてそれを見いだした瞬間が映し出された時、観客である私たち自身にできることは何かを問いかける作品だ。

 デザイナー中里唯馬
「YUIMA NAKAZATO」デザイナー、中里唯馬

主人公である中里唯馬は、日本人では森英恵以来2人目となるパリ・オートクチュールコレクションの公式ゲストデザイナーに選ばれ、パリで継続的に作品を発表する「YUIMA NAKAZATO」のデザイナー。

燃えるドレスを紡いで ケニア

ファッション界の先端を走る中里は「生み出された衣服はどこに行くのか」という問いの答えを探しに、衣服の最終到達点といわれるケニアに向かう。そこで目にしたのは、スモーキーマウンテン、異臭、川に流れる古着……。ケニアには世界中の着られなくなった服が集まり、それらが環境汚染を引き起こしているという。

ケニア スモーキーマウンテン

「ファッションの現実」を目にした中里は、その現実に絶望。自分がこれまでデザイナーとしてし発表してきたことに自問自答しながらも廃棄された服から新たな衣服をつくり、パリコレクションに臨むという前代未聞の挑戦を始める。

燃えるドレスを紡いで 劇中カット

普段は見られないクリエイターの葛藤など、ファッションだけではない「中里唯馬」にフォーカスしたのは、『生きてるだけで、愛。』『太陽の塔』などで知られる関根光才監督。

関根監督は本作の公開にあたり、「今回、唯馬さんのパリコレの制作プロセスを追いかける中で、ファッションが抱える大きな社会課題にチャレンジしている画期的な技術が日本にあることも知りました。近しい夢を見ている人々と共創して、ゴミという概念も、服に対する概念も、もしかしたら『何がオシャレでスタイリッシュなのか』ということに対する概念も、違う角度から見れるようになるきっかけになれればというのが今回の作品です。」とコメント。

デザイナー 中里唯馬
「YUIMA NAKAZATO」デザイナー、中里唯馬

中里は、「衣服は何処からやって来て何処へ行くのか。私たちは普段、息をするように、当たり前のように服を着て生活しています。本作を観た方たちが、少し立ち止まって、衣服って何だろう、何で着ているんだろう、そんな風に考えるきっかけになっていただけましたら嬉しいです。」とのコメントを寄せている。

燃えるドレスを紡いで 劇中カット

普段のおしゃれから少し意識を変えるだけで、未来につながる可能性を発見できるドキュメンタリー。私たちの日常と切り離せないファッションや買い物について、改めて考えさせられる作品だ。

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text: Tomomi Suzuki


『燃えるドレスを紡いで』
公開日: 3月16日(土)
監督: 関根光才
出演: 中里唯馬
配給: ナカチカピクチャーズ
公式サイト: https://dust-to-dust.jp/

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