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浦浜アリサ、サステナブルな素材と未来のアパレル産業を紡ぐ「カポックノット」に夢中

俳優・モデルとして活躍する浦浜アリサさん。4歳から芸能活動をスタートし幼い頃からさまざまな経験を通して、社会に触れてきたアリサさんが、自身の知的好奇心を刺激しキャッチした、コト、モノ、人、企業、ブランド......などを深掘りしていく連載「シン・コウキシン(新・好奇心)」。第6回は、地球環境、生産背景にこだわるライフスタイルブランド「KAPOK KNOT(カポックノット)」にフォーカス。木を伐採する必要のないサステナブルな素材「カポック(綿の詰まった木の実)」を使用したアイテムと企業の取り組みを紹介する。

いまの20代30代は、いわゆるゆとり世代と呼ばれますが、ここで声を大にして言いたい。「私の周りの友人知人をゆとりと思うことは限りなくゼロに近い!」
社会や未来をより良くするための情熱にあふれた、素敵な若者で溢(あふ)れています。今回は、私と同世代の男性が代々続く家業から大胆に独立し、アパレル業界に新しい風を吹かせ始めた新ブランドにフォーカス。植物性繊維といえばこのブランド! と、今後業界をリードしていくであろう、「KAPOK KNOT」を取材してきました。

「カポックノット」
「KAPOK KNOT」ホームコレクション。カポックを中綿に、ユーカリ由来の素材を表地に使ったスリープケット。寒い時期には掛け布団と重ねて毛布の代わりに使うのも◎/各 ¥39,800

アウターからホームアイテムまで幅広く展開するサステナブルブランド「KAPOK KNOT」の代表、深井喜翔さんがブランド設立に動き出したのは、アパレル業界の抱える環境問題を無視できなくなったことがきっかけだったそう。家業は、大阪にある創業76 年の老舗アパレルメーカー「双葉商事」。4代目として当時は営業を担当しながらも、なかなか解決されない大量生産・大量廃棄について思うところがたくさんあった。そんななか、知識を深めるため繊維品質管理士の資格取得を目指し勉強しているときに出会ったのがインドネシアに自生し、「木に実るダウン」ともいわれる綿の詰まった木の実、「カポック」だった。

“どうせ使えない”と教わった繊維素材を、新しいスタンダードに昇華

深井喜翔(以下深井):「最初、試験科目の授業の中でカポックという言葉が出てきました。でもその時は『これはテストには出ません』と言われて。どうせ使える素材じゃないので、そんなことよりウールの特性を覚えてください、という感じでした。実際インドネシアにカポックを見に行く機会があった時も、現地の知り合いに『そこら辺に生えているものを何に使うの?』と不思議がられましたね。現地でクッションや枕、マットレスなどの詰め物として使われているくらいで、繊維素材としては全くフォーカスされていませんでした。むしろ、カポックの木の伐採が進んでいたほどです。お金にならないから木材にして売ってしまい、別の植物を植えたほうが商売になると。全世界緑化と正反対の動きがインドネシアで起きていました」

浦浜アリサ(以下浦浜):「そんなにも日の目を浴びていなかったカポックが、いまや全世界で注目を浴びる現代の新素材になり、需要が上がることで森林破壊も止められて、インドネシアの雇用も拡大した……いいこと尽くしですね! デメリットが本当になさそう」

浦浜アリサさん 深井さん

深井:「唯一あるとすれば、加工が難しいことですね。繊維が短く軽いので、今はシート状にして使うことしかできていません。ちなみにこの、繊維をシート状にするというのは、元々ダウンの加工で使われていた最新技術なんです。薄手にできるので着ぶくれせず 、服に使える幅が広がる良さがありますが、この製法のダウンはべらぼうに高い! ダウンの使用量自体もすごく多くなるし、世界でもドイツでしかできないテクノロジーなので、おそらくハイブランドでないと手が出せない。それに比べて、カポックの値段はダウンの1/20。現状一択ではありますが、ダウンと同じ暖かさと、コットンの1/8の軽さが実現できるこのシート状がベストな製法です。ただ、正直に言うと今はカポック100%で中綿のこのシートを作ることが難しく、どうしても合成繊維(リサイクルポリエステル)を混ぜなくてはいけない。そして、薄くて軽いのが売りですが、中には『ダウンジャケットのようなモコモコ感のあるアウターが欲しい』というお客様の声もあります。そういったご意見を生かして実は今、とある繊維会社様と協業して、ふくらみ感のあるカポックの開発を進めているところです。他にも、カポックは油を吸収する性質があり、例えば流出した船の石油の処理のために海に投げ入れて吸油材にするという使われ方もあるんですが、これも同じく合成繊維を混ぜなければ、耐久性が上がらない。ポリプロピレンなどの化学繊維が使われることが多いのですが、それを海に投げ入れると、結局マイクロプラスチックが流出することになり本末転倒になってしまう。100%植物性の吸油材は今後絶対に必要だと思うので、その研究開発もいまやっているところです。少しずつ形になってきていますが、これがまた、めちゃくちゃ大変なんですけどね(笑)」

浦浜:「今年の10月のブランド設立4周年を前に、もうすでにアップデートされた次世代の中綿シートも見えてきてるんですか? 話を聞けば聞くほど、喜翔さんって難題に自ら進んで挑みに行くタイプの方なんだということが分かりますね!」

ここまで読んでいただいた皆様。「さっきから保温やらダウンやら……日に日に暑さが増すこの真夏の時期に、なぜ冬が主軸のブランドの話を?」とお思いでしょう。私も書いているだけで汗が出てきそうなので、お気持ちは十分わかります。まさに、これも今回深井さんに聞きたかったことのひとつなんです。

浦浜アリサさん
カポックノット アニマルフリーなヴィーガンダウン
Animal Free Down: SCARF/ブラック、オリーブ/¥88,000

浦浜アリサが体感した「アラジン エックス」プロジェクターが生みだす魔法の暮らし

お問い合わせ先

KAPOK NOT
HP: https://kapok-knot.com/

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Profile

浦浜アリサ

俳優・モデル。アメリカ人の父と、日本人の母の間に生まれ、兵庫県で育つ。 4歳からモデルとして活動をはじめ、15歳の時に「神戸コレクション2005 AUTUMN/WINTER」にてショーデビュー。 以降、国内外の様々な雑誌やブランドのショーに出演。2007年、MTV JAPANのVJとして司会業をスタートさせたのを機に、J-WAVEをはじめラジオでのDJ、イベントのMCも務めている。 現在は俳優としても、舞台や映画、ドラマに出演。Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス:シーズン2』が全世界配信中。


Instagram:@alisa_urahama

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