「You Can Imagine the Opposite (反対を想像する)」 現代社会へのメッセージにも受け取れるMaurizio Nannucci (マウリツィオ・ナンヌッチ)によるサイトスペシックなインスタレーションは、2023年第61回ミラノサローネ「The City of Lights(光の街)」のシンボルとして来場者に好奇心と創造性の光を灯した。 Coutesy Salone del Mobile,Milano,Photo: Diego Ravier
毎年4月にミラノの大型展示場・ロー・フィエラミラノで開催されるミラノサローネ国際家具見本市(以下、ミラノサローネ)は、世界中のデザイン関係者が集う世界最大規模のインテリアの祭典。通年開催される サローネ国際家具見本市を中心に、サローネ国際インテリア小物見本市、ワークプレイス 3.0(オフィス家具の見本市)、S.プロジェクト(デザイン製品とインテリア装飾)、若手デザイナーの登竜門のサローネサテリテと、ビエンナーレ形式で2年に一度開催される、エウロルーチェ(サローネ国際照明見本市)、エウロクチーナ(キッチンの見本市)で構成されている。
イタリアのみならず各国からインテリアブランドが参加し、30万人以上の来場者数を誇るミラノサローネだが、ミラノの人口が120万人強であることを考えると、その動員数が驚くべき数字であることがわかる。ミラノ市街各地で開催されるインテリア&デザインイベント、フオーリサローネと合わせて「ミラノデザインウィーク」と称される約1週間の会期中にはデザイン、インテリア関係者のみならず、ジャーナリスト、世界中のデザイン・ラバーが詰めかけた。この期間は通常より宿泊代が3倍となるホテルも、高級レストランも予約でいっぱいになり、4年ぶりの通常開催に沸いた今年は、夜遅い時間まで各社の趣向を凝らしたウィンドウやイベント、パーティーを楽しむ人々で市街地も大いに賑わった。

新型ウイルスCOVID-19の蔓延により2020年は中止、2021年は限定開催、2022年は会期を遅らせての開催となったミラノサローネだが、今年は会期も4月に戻り、閉会後に主催者から発表された来場者数は、昨年比15%増の307,418人となった。さらに特筆すべきは、新しい見本市の誕生とも呼べる大きな変化だ。これまで2フロアで構成さていた展示会場は地上階1フロアに集約され、2年に一度のビエンナーレ形式で開催されている照明の見本市「エウロルーチェ」には、従来の碁盤の目状のレイアウトを一新した動線を採用。現代アート、建築、写真などの領域を横断する展示、講演、インスタレーションなどの体験的なコンテンツも用意された。

この新機軸を打ち出したのは、パンデミック真っただ中の2021 年にミラノサローネ初の女性代表となり、昨年は記念すべき60周年の第60回を成功に導いたマリア・ポッロ。根強い男性社会と言われるイタリアのインテリア業界で、ミラノサローネの代表として未来を見据えながら前進する彼女が描いた「明日の見本市」の姿は、来場者や出展者にとって便利で、使いやすく、新しさに満ち、さらに国籍、人種、ジャンルなどの混在に寛容な「街」の様相を呈していた。「The City of Lights (光の街)」をテーマとしたエウロルーチェの会場から、2023年ミラノサローネのハイライトを紹介する。
