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“自然と人間の関係性”がテーマの企画展「Back to Nature」

「プロジェクト・プロダクション・コレクティブWATOWA GALLERY」が、“自然と人間の関係性”をテーマに制作活動を行うアーティスト3人による企画展「Back to Nature」を、2023年6月10日(土)から6月29日(木)まで、elephant STUDIO(エレファント スタジオ)にて開催。現在、開催に先駆け、6月9日(金)に行われるトークショーの予約も受け付け中。

拠点の異なる3人の作家の作品を通して、“現代社会における人間という生き物にとっての自然とは何なのか?”という問いを提示し、自然との対話を促す本企画展。

現代を「自然と人間が最大限に乖離した今までにない社会」と捉えるアーティスト、アレハンドロ・ロペスは、アメリカ・カリフォルニアのYosemite vallyの山奥に赴き、人が立ち入らないような過酷な環境で制作した絵画作品群「Yosemiteシリーズ」など、自身と自然との対話を通して手がけた作品を展示する。

Alejandro M Lopez(アレハンドロ・ロペス) ロサンゼルスに生まれ、アートセンター・カレッジ・オブ・デザインで学ぶ。卒業後の25年間を四大陸で生活し、絵を描く。現在、カリフォルニア在住。

広大な大地に一人、身を置き、自然と向き合うことで、仏教寺院での五行修行によって得た最終的に何も存在しない境地――「無」に到達するという経験を呼び起こし、それによって得た自然との新たな関係性を掲示している。

美術家の藤元明は、能登半島の“海ごみの山”を訪れた経験を契機に、大量消費社会が生み出した“ゴミ問題”について考えを巡らせ、実際に能登半島のごみを素材として制作した“海ごみ”シリーズ「LAST HOPE」を出展。

藤元明 1975年東京生まれ、東京在住、東京藝術大学デザイン科卒業。1999年コミュニケーションリサーチセンターFABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学大学院を修了(デザイン専攻)。東京藝術大学先端芸術表現科助手を経て、社会、環境などで起こる制御できない現象を社会へと問いかける展示やプロジェクトを立案・実施。様々なマテリアルやデジタル制御を組み合わせ、作品化している。

本シリーズは、アクセスの厳しい浜や国境に漂着して溜まり続ける“海ごみの山”のすぐ側で、自ら持ち込んだ道具でごみを溶かし固め、素材の色をそのまま生かした鮮やかな抽象表現作品。また、2020年に開催された同ギャラリーでの個展で、初めてギャラリー売約された作品群としても知られている。

そして、「自然は飽きることのない象徴的なモチーフ」と語るアーティスト、原口みなみは、“記憶”や“思い出”をキーワードに、鑑賞者自身の記憶とのつながりを通して得られるプリミティブな感情との共鳴をテーマにした制作活動を行っている。

原口みなみ 1990年大阪生まれ。2016年京都市立芸術大学院修士課程修了。日常にある些細なものを象徴化する作品制作を行う。表現方法は平面絵画からインスタレーションまで多岐に及ぶが、近年ではモチーフをデジタルドローイングし、切り紙でコラージュ、それを油絵にするという媒体を何度も移りかえていく表現技法をとる。

本展では、北アルプスの最奥地にある雲ノ平に長期滞在して制作活動を行う「雲ノ平山荘AIRプログラム2022」を経て完成した絵画作品群をはじめ、彼女の特徴の一つでもある花をモチーフとした作品などを展示。

出展作品のうちの一つである「山のまつり」は、雲ノ平で見たニッコウキスゲの群生と、それらが春に一気に芽吹いたときの美しさ、また、ある種の恐ろしさや狂気が発想の起点となっており、教会で見られる祭壇画のように三連画を用いることで、自然への畏怖や神々しさを掲示している。

同ギャラリーが考える、展覧会を起点とした自然との新たなつながりを体感してほしい。

text: Tomoe Tamura

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