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浦浜アリサが聞く「SHIMA」奈良裕也が独立しない理由〜前編〜

幅広い活躍を見せる奈良さんの肩書きって?

浦浜アリサ 奈良裕也 SHIMA
〈左〉浦浜アリサ(着用アイテムすべて私物)〈右〉奈良裕也(着用アイテムすべて私物)

浦浜アリサ(以下、浦浜):じつは、今日最初に聞きたいことはすでに決めていて。奈良さんって、DJやモデル、今やYouTubeチャンネルまで開設して、本当に幅広い分野で活動しているのに、いつも名乗るときは「美容師・ヘアメイク」だけですよね?

奈良裕也(以下、奈良):僕は昭和な人間なので。餅は餅屋じゃないけど、その道のプロに対してすごく失礼に値するから言いたくないんです。
DJも10年以上やっているけど全然まだ下手だし。だからプロのDJばかりのイベントだとお断りする場合もある。他にも、「洋服作りませんか?」「芸能関係やりませんか?」といろんなお声がけはありました。何事もチャレンジするのはいいけど、本職は美容師だし、軸はブレたくないんです。

19歳でパリコレクション、37歳でミラノのコレクションにモデルとして登場

浦浜:では逆に、「こだわりがあるから、美容師以外やりません」っていう人も中にはいると思うけど、そこをあえて枠から飛び出して、いろんなことにチャレンジするそのモチベーションはどこから来てるの?

奈良:自分からチャレンジしていこうと思ったわけじゃなく、声がかかってしまい……っていう特殊なタイプなんです。パリコレモデルをやらせてもらった時も、身長が164cmしかない僕が、自分からパリコレに出たいと言ったわけではなかった。でも、パリコレのヘアメイクのバックヤードを生で見る機会なんてそうそうないのでいい経験だった。ミラノコレクションではパット・マクグラス(世界的に有名なメイクアップアーティスト)の仕事も見られたしね。

浦浜:そっちの視点なんですね! 奈良さんってパリもミラノもコレクションデビューしてるよね。私の憧れの舞台に先に行っちゃって(笑)。

奈良:パリが19歳の時でした。「ヨウジ ヤマモト」で。ミラノの「ドルチェ&ガッバーナ」にいたっては37歳だからね!

奈良裕也 ヨウジヤマモト 
〈上〉パリで開催されたヨウジヤマモトのランウェイショー
〈下〉デザイナーのヨウジさんを囲んで〈右奥〉奈良、19歳の頃/提供:奈良裕也
奈良裕也 ドルガバ ドルチェ&ガッバーナ
ミラノで開催されたドルチェ&ガッバーナのランウェイショー/提供:奈良裕也

‘00年代の“読者モデル”は奈良裕也が火付け役!?

浦浜:19歳ってことは、まだ美容学生よね? どういう経緯で?

奈良:高校3年生ぐらいの時が、ちょうどストリートスナップ全盛期の時で。“読者モデル”という言葉が出てくる前の読者モデルをやっていました。要は僕が火付け役です。(笑)

浦浜:知ってます、草分け的存在よね。(笑)

奈良:雑誌「スマート」のヘアカタログで「HEAVENS(ヘブンス)」という美容室のカットモデルをやった時、それを見た「ヨウジ ヤマモト」のオフィスの方から「ヘブンス」の僕の担当の方に、「この子と連絡取りたい」って連絡が来て。当時の「ヨウジ ヤマモト」のオフィスがあった寺田倉庫に呼ばれて行ったら、「じつはパリコレに出てほしくて。夏、パリに来られる?」って言われました。
僕は埼玉の飯能市出身なので、最初は「あ、東京ってやっぱりこういう騙しがあるんだな」って信じなかったです。「僕お金ないですし……」って。(笑)

浦浜:詐欺だと思ったんだ!

奈良:思うよ! だって164cmしかないただの美容学生なのに。
「こいつら全員、『ヨウジ』さんのオフィスまで使って俺のこと騙して! 」って思った。結果、真面目な人たちで本当のことだったけど。パリではプロモデルをちゃんと準備して、日本でもオーディションするけど、東京のストリートキッズみたいな男の子たちを半分くらいキャスティングするから、そこに奈良君を使いたいっていうことでした。
美容学生は厳しいから「学校を休むと就職に響く」って常々言われていて。「ソフトボール大会の日と被ってるから無理です 」って一度断った。僕、意外と真面目なんですよ。

まさかの、パリコレを蹴って美容師学校の行事に参加!?

浦浜:ソフトボール大会?!どういうこと?!

奈良:美容学校の行事にソフトボール大会や遠足があって、それも出席日数にカウントされるから休むと、美容室の採用の時に不利になる。パリコレに出るその一瞬はいいけど、僕は将来のほうが大事で、長い目で見た時に就職できないほうが絶対きついと思っていたので。結局、学校に相談したら「そういうことは逆にプラスになるから、行ってきなさい」って背中を押していただいて。「ヨウジ」の方に「あ、すいません。学校からOKって言われたので、パリ行けます」って。(笑)

浦浜:ソフトボール大会とパリコレを天秤にかけた人、世界でも奈良さんだけでしょうね(笑)。美容師になりたい意志が固かったことが伝わりました。昔からずっと目指してた?

奈良:小さい頃から華やかなものが好きで、とくに90年代のスーパーモデルが好きだった。シンディ・クロフォード、クラウディア・シファー、ナオミ・キャンベル、ナジャ・アウアマン……

浦浜:私も大好き!

奈良:ファッションデザイナーには興味がなくて。しかも当時は学がなかったから、スタイリストという職業を知らなかった。じゃあヘアメイク、美容師がいいなぁって。

浦浜:もしその時にスタイリストっていう職業を知っていたら、なっていた可能性もある?

奈良:なってたかもね。服は好きだったから。

東京のトレンドサロン「SHIMA」でのサロンワークと、ヘア&メイクアップアーティストとして国内外のアーティストやセレブリティを手掛け、ファッション誌や業界誌、ヘアショー、コレクショ ン等で活躍中。ヘアメイクだけにとどまらず、モデルやD Jとしての活動など、東京のファッションアイコン的存在で活動は多岐に渉る。

SHIMA公式HP : https://www.shima-hair.com/
Instagram:@yuyanara

Profile

浦浜アリサ

俳優・モデル。アメリカ人の父と、日本人の母の間に生まれ、兵庫県で育つ。 4歳からモデルとして活動をはじめ、15歳の時に「神戸コレクション2005 AUTUMN/WINTER」にてショーデビュー。 以降、国内外の様々な雑誌やブランドのショーに出演。2007年、MTV JAPANのVJとして司会業をスタートさせたのを機に、J-WAVEをはじめラジオでのDJ、イベントのMCも務めている。 現在は俳優としても、舞台や映画、ドラマに出演。Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス:シーズン2』が全世界配信中。

Instagram:@alisa_urahama

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