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浦浜アリサが聞く「SHIMA」奈良裕也が独立しない理由〜前編〜

独立は一瞬たりとも考えたことがない。ずっと「SHIMA」がいい

浦浜アリサ 奈良裕也 SHIMA

浦浜:今や「SHIMA」といえば奈良裕也、奈良裕也といえば「SHIMA」だけど、独立は考えたことはないの?

奈良:ない。一瞬も。

浦浜:美容師ならみんな「自分のお店を構える」という夢を絶対持つものだと思ってた。

奈良:一家の大黒柱じゃないけど、いつか自分の城をって考える人は多いよね。僕は正直それが古いと思っていて。いちプレイヤーとして、ショーでモデルを綺麗にしてスタイリングも考えて……っていう過程が僕は好きなんです。独立して自分のお店を出すとなると、経営のこと、スタッフの教育、面倒なことがいっぱいあるから、自分がやりたい“アーティスティック”なことに集中できなくなるのが嫌だった。

浦浜:そこに意識を持っていかれたくなかったのね。

奈良:だから、創業者で当時社長の嶋義憲先生に、「奈良ちゃんに原宿店の店長を」って打診された時も、「あ、嫌です」って断った。(笑)
「なんで! 20代前半で店長だなんてハクもつくし、普通みんな喜ぶのに! 」って言われたから、「月報書いたり、みんなをまとめたり、後輩の教育なんて面倒くさい仕事は大嫌いです。伸び伸びと自由に、女の子を可愛くしたい一心で『SHIMA』に入って売り上げも一番頑張ってるのに、なんで僕が一番嫌な仕事を押し付けるんですか。間違ってると思う! 」って言ったらびっくりされた。(笑)
人の上に立って指示とかしたくないの。そんなことはどうでもいい。自分がやることやっていれば人はついてくるから。すると嶋先生も、「確かに。店長って誰でも憧れるもので、奈良ちゃんも嬉しいだろうと思って言ったんだけど、その通りだね」って理解してくださって。そういう経緯で、原宿店には店長不在の1年がありました。

浦浜:面白すぎるけど、確かに真っ当な意見だと思う。

先輩に店長業務を任せ、自分は一切やらない。前代未聞の店長が誕生!

奈良:その後、「奈良裕也が代官山にNEOっていう店を出す」なんてデマが流され始めて。

浦浜:それは根も葉もなく?

奈良:まったくない。たぶん誰かが面白おかしくネットに書いただけだと思う。辞めた先輩からも連絡くるし、「SHIMA」のスタッフにも噂話が飛び火して、嶋先生の耳にまで入って「辞めるの?」と聞かれたから、何の話ですか?ってなって。「じゃあ、もうめんどくさいから店長やります」って自分から折れて言ったんです。

浦浜:じゃあ、その噂を消すために店長やったってこと?

奈良:それもある。でも「店長って言っても名前だけで、店長業務は一切やらないですよ。それでもいいんだったら」って交渉したら、「それでもいいよ。」って。

浦浜:店長業務はどうしてたの?

奈良:当時原宿店に45人ぐらいスタッフがいたから、1階は草間さん、2階は高木渉さんと分けて任せてた。

浦浜:草間さんって「SHIMA」に入るきっかけになった方でしょ?そんな恩師に月報書かせてたの?!

奈良:そう。その代わり僕は、死ぬほど頑張って売り上げに貢献してました。今でも草間さんには先輩として最大限の礼儀を尽くしているし、ありがたく思ってます。

浦浜:でも奈良さんの人柄と努力、その結果を見てたら、それが許された愛されキャラなんだろうなっていうのはすごく伝わるなぁ。
あとこれも今日聞きたかった。ヘアショーではド派手でアーティスティックなことをするから、奈良さんに初めてサロンで髪を切ってもらう時に「私どんな髪型にされるんだろう。刈り上げなんてされたら事務所クビになる……」って怯えてたら、サロンワークでお客様にするスタイルはすごくミニマルでシンプルよね? あの差は意外だった!

奈良:そうだね。リアリティは大事だし、実はベーシックでシンプルなほうが好き。「SHIMA」のスタイリストはみんなシンプルなスタイルを速く仕上げる人が多かった。施術に時間かかるとお客様も疲れちゃうし、1日の予約数も多くてお待たせできないから。

ヘアスタイルの好みは、師匠の工藤耕成さんの影響が大きい

奈良:好みに関しては、師匠の工藤さんの影響も大きいね。じつは工藤さんが独立するときに、一緒に来ないかって誘われてはいたよ。今でも覚えてます。中目黒のワインバー「モノポール」で、「すごく嬉しいけど、僕は『NEW HAIR』(SHIMAのシーズンビジュアル広告)のスタイリングもまだできていないし、SHIMAで工藤さんのポジションになれていない。せっかく入った以上、ここでトップを取りたいから、今は辞められないです」って、泣きながら伝えました。僕は今までの人と違う、自分だけの色を「SHIMA」で出せるって確信していたので。


お腹抱えて笑える話から、聞いている私までグッとくるようなエピソードまで、こんなに赤裸々に語ってくれるとは。

盛り沢山の内容で収まらなかった、“今”のことや“これから”のこと……続きは後編でお届けします。お楽しみに!

photos: Ryusei Imai、interview & text: Alisa Urahama、edit: Miyuki Kikuchi

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東京のトレンドサロン「SHIMA」でのサロンワークと、ヘア&メイクアップアーティストとして国内外のアーティストやセレブリティを手掛け、ファッション誌や業界誌、ヘアショー、コレクショ ン等で活躍中。ヘアメイクだけにとどまらず、モデルやD Jとしての活動など、東京のファッションアイコン的存在で活動は多岐に渉る。

SHIMA公式HP : https://www.shima-hair.com/
Instagram:@yuyanara

Profile

浦浜アリサ

俳優・モデル。アメリカ人の父と、日本人の母の間に生まれ、兵庫県で育つ。 4歳からモデルとして活動をはじめ、15歳の時に「神戸コレクション2005 AUTUMN/WINTER」にてショーデビュー。 以降、国内外の様々な雑誌やブランドのショーに出演。2007年、MTV JAPANのVJとして司会業をスタートさせたのを機に、J-WAVEをはじめラジオでのDJ、イベントのMCも務めている。 現在は俳優としても、舞台や映画、ドラマに出演。Netflixオリジナルシリーズ『今際の国のアリス:シーズン2』が全世界配信中。

Instagram:@alisa_urahama

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