1960年代に巻き起こったスペースエイジブームを牽引したデザイナーのひとりにして既成服やライセンス事業の先駆者でもある希代のデザイナー、ピエール・カルダン。2020年12月に急逝したものの、今年は生誕100年という節目の年。数多くの名作を生み出したカルダン氏だが、今回はコスモコール以降の代表的デザインを紹介する。1980年代以降に流行したファッションの特徴のひとつである肩パッドを入れたビッグショルダーシルエット。ピエール・カルダンが発表した肩に特徴があるデザインは、一癖も二癖もあるものばかりで今もなお斬新。そんなショルダーラインを、今年7月に発売した「ピエール・カルダン デザイン アーカイブ」から抜粋して紹介する。
中国へ旅した際に見た仏塔をヒントに、1979年の春夏コレクションで反り返ったショルダーラインを発表。肩パッドの入ったビッグショルダーデザインを発表していたブランドはいくつかあったが、パゴダラインは独創的なカッティングと特殊なパッドで話題となった。そしてこの年、中国で初めてのファッションショーを開催したのだった。



技術革新の波を読み取り、コンピュータの構造をイメージさせるような凹凸をバックスタイルで表現。シンプルなフロント、四角いフォルム、そして変形プリーツを施した背面が特徴。「布の魔術師」の異名を持つカルダンならではの技術と独創性が詰まっている。

パゴダショルダーに代わる新しいショルダーラインとして話題を呼んだデザインを、1981年春夏コレクションで発表。真横から見た際、フランスの戦闘機「ミラージュⅢ」の翼を折り畳んだフォルムを思わせる袖が特徴的なものだった。

1981年の秋冬コレクションではさらに進化した袖のデザインを発表。日本の折り紙にインスピレーションを得た三角形や四角形モチーフを取り入れたショルダーデザインを発表。構築的なシルエットや幾何学的なラインはカルダン氏の発想力やテクニックの素晴らしさを感じるには十分で、世界中から高く評価された。


自由な発想から生まれたピエール・カルダン氏のクリエーションは、今見ても革新的でモダン。装うことの喜びや楽しさを、時代を超えて伝えてくれる。
text: Eri Nishimura
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ピエール・カルダン デザイン アーカイブ
ピエール・カルダン氏の生前の仕事や功績を振り返るビジュアル書籍。1960 年代のファッション革命に及ぼした多大な影響を始め、プレタポルテやライセンスビジネス、芸術振興など全仕事をまとめた一冊。(グラフィック社)