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フランス、国民議会でファストファッション規制法案が全会一致で可決

UlyssePixel Paris, France / iStock.com

環境破壊や大量廃棄など、さまざまな問題が指摘されているファストファッション。フランスはそれを法的に規制する最初の国になるかもしれない。マリ・クレール インターナショナルのフランス版デジタル記事よりお届け。

2024年3月14日(現地時間)、全会一致で通過した法案で、フランスの国民議会(下院)は、「ファストファッション」を規制するための一連の提案を可決した。それには当該ブランドの広告を禁止することや環境保護のための罰金も含まれている。

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これは、政党「地平線(Horizons)」議員のAnne-Cécile Violland氏が闘ってきた主要な論争のひとつである。購買力の低下と、大量に輸入された衣料品が叩き売り価格で販売されているファッション市場の飽和を背景に、同議員は中国企業Sheinを視野に入れ、「ファストファッション」を制限することを目的とした法律を立案した。

法案は国民議会で審議され、2024年3月14日(現地時間)に全会一致で採択された。

ファストファッションブランドに対する、環境保護のための罰金

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この法案で、Anne-Cécile Violland氏は、衣服の生産量とコレクションの回転速度に基づく基準を用いて「ファストファッション」を定義している。主な対策のひとつは、「温室効果ガス排出量の10%を占める汚染産業」である繊維部門における「ボーナス・マルス」制度(報奨と罰金を併せ持つフランスの制度 ※編集部注)の強化である、と同議員は述べた。過剰生産による「環境コスト」を考慮して、罰金は製品の「環境ラベル」と連動させるとともに、製品を評価する新しい方法を開発する。

「これは税金ではありません」と同議員は主張。企業によって納付された罰金は、サステナブルな衣料品の生産者が製品の価格を引き下げるために、再分配されなければならないと説明した。「マルス(罰金)」の額は政令で定められ、2030年までに1製品あたり10ユーロ、上限は販売価格の50%まで、徐々に上昇する可能性がある。今回の法案に滑り込ませた修正案では、この10ユーロを達成するためにいくつかの段階が設けられており、最初のステージは2025年の5ユーロとされている。

ファストファッションの広告の禁止

この法案のもうひとつの目玉は、「ファストファッション製品や企業」の広告の禁止である。積極的とみなされるファストファッション企業のマーケティングが、今回の批判の的となった。この対策は、国民議会で共和党(LR)を除くすべての政党の支持を得ている。NGOの連合である「Stop Fast Fashion」にとっては満足のいく提案であったが、にもかかわらず、「ZARA、Primark、H&M、Actionなどのブランド」も対象にすべきだと主張し、「Sheinだけにペナルティを科さないよう」にと、国会議員に求めた。

中国企業Sheinの広報担当者はプレスリリースの中で、採決された法案は「もっともコスト意識の高い消費者に、不当なペナルティを科すものだ」と説明した。フランスの百貨店などの業界団体である「Alliance du Commerce」は、「環境ラベル」を「マルス」の根拠とすることに難色を示している。AFP通信によれば、同団体のYohann Petiot事務局長は、この法案が(Sheinのような)「ウルトラ・ファスト・ファッション」よりもむしろ、国内企業に影響を与えることで、「成功を逃す」ことを懸念しているという。まず下院で採択されたこの法案は、今後セナ(上院)で審議される。

Translation & adaptation: Akiko Eguchi

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