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35歳デザイナーが受け継ぐ、新生「アレキサンダー・マックイーン」

英国のキャサリン妃のウェディングドレスで知られる「アレキサンダー・マックイーン」が新章を迎えた。創業者のアレキサンダー・マックイーンが死去した2010年以来、ブランドを率いたサラ・バートン。そのバトンを受け取った、35歳のデザイナー、ショーン・マクギアーがファーストコレクションを披露した。2024年秋冬パリ・ファッションウィークより現地リポート!

着想源は初期のマックイーン

パリ郊外、13区のオランピアード。古い駅を再開発し、物流センターとして利用されている広大なガレージがショー会場となった。中に入ると天井から垂らされたいくつものパラシュートがドレープをなびかせ、アシッドイエローのブランケットを牧草ロールのように丸めた客席が出迎えた。

新しいクリエイティブ・ディレクターに就任したマクギアーは、セントラル・セント・マーチンズでファッション修士号を取得後、「バーバリー」でキャリアをスタート。クリストフ・ルメールの下、 「ユニクロ U」のメンズコレクションに携わった後に入社した「JWアンダーソン」では、最終的にヘッドデザイナーを務めた。

ファーストコレクションのインスピレーション源となったのは、1995年春夏シーズンのアーカイブ「The Birds」コレクション。ロンドン郊外のガレージで披露された、アレキサンダー・マックイーンによる創立初期のコレクションだ。

ストリートなコレクションの中に“らしさ”

ショーは両手を胸元に収めたラミネート加工されたブラックのジャージードレスで幕を開けた。

「ラフな贅沢」「内なる動物性が露わになる」というキーワードの通り、ブラックとブラウンを混ぜたムートンのダブルブレストコートや、レオパードプリントが彩るシルクビスコースのドレープドレス、馬のたてがみのようにムートンをあしらったデニム、飛び出た尾のように黒のシルク糸が揺れる馬の蹄をモチーフにしたブーツなど、上質な素材はそのままに、スタイルをストリートへと落とし込んだ。

造形的なアプローチも目立ち、襟を4倍の大きさに誇張したハンドニットのジャンパーやモヘアのニットで作ったダブルフェイスのトップスは、ショーの中でも存在感を放った。

一方でブランドが誇る端正なテーラーリングは健在。メンズの肩にパットを入れウエストをシェイプしたジャケットに、ゆったりとドレープするパンツを合わせた独特なバランスは、新鮮にも映る。また、ベルトなどでウエストや足元をタイトに拘束しシェイプをコントロールテクニックも印象的だ。ブランドのアイコンでもあるスカルモチーフも、光るバッグとしてお目見えした。

text: Mio Koumura

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