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階級とは何か? クラフトと絵画で模索する「ロエベ」2024年秋冬コレクション

ジョナサン・アンダーソン手掛ける「ロエベ」の2024年秋冬ウィメンズショーは、パリの東方に位置するヴァンセンヌ城が舞台。今季のインスピレーション源の一つ、米国人画家アルバート・ヨークの作品が飾られた空間で披露されたコレクションは、最もクラフトを取り入れたという。そこにはアンダーソンの“問い”が込められていた。2024年秋冬パリ・ファッションウィークより現地リポート!

現代における豊かさへの問い

コレクション制作の出発点について、「現代において、由緒や、まして階級についてについて語ることには意味があるだろうか?」と振り返るアンダーソン。階級社会を比喩するモチーフを大胆にデフォルメするなど、「ロエベ」らしい表現を通して覆した。

例えば、男子全寮制で知られるイギリスの名門パブリックスクール、イートン・カレッジのモーニングジャケットの裾を、床に近づくほどに引き伸ばすことでフェミニティ宿るシルエットに仕上げたコートは象徴的だ。応接間のタペストリーを彷彿とさせる花柄プリントはドレスやパンツなど多様なスタイルに。高級レザーとして知られるオーストリッチは、ハイパーリアルプリントを用いたオールインワンとして登場した。

またクラフトの要素も色濃く、パグがこちらをじっと見つめるアイコニックなドレスは目を凝らせば細かなキャビアビーズで描かれていることがわかる。こうした手法はバッグやバイカーブーツなどにも取り入れられた。また、ロングのチェスターコートに付けられた大ぶりな襟のファーは、木製彫刻によるもの。「技術を見せびらかすのではなく、複雑なクリエイションを自然と魅せることがロエベらしい」とアンダーソンは言う。

アルバート・ヨークの絵画と楽園

会場は、深いグリーンに包まれたまるでアートギャラリーさながらの空間。ヨークが描いてきた豊富な緑を参考に3つの色調でしつらえ、迷路のような動線のなかで目を奪うように、アルバート・ヨークの小さな田園風景画や花の静物画18点が壁に展示された。

コレクションノートには、ヨークのこうした言葉が引用されている。
私たちは楽園に生きています。ここはまさしく、エデンの園なのです。私たちの知る、唯一の楽園かもしれません。まったくもって美しすぎる。描いてみたいと感じるほどに”

労働者の街、アメリカのデトロイトに生まれ、晩年は英国のヨークシャーで自宅近くの自然を描きながら過ごしたというヨーク。美術界からも距離を置く存在として有名だった彼は、階級や由緒という言葉から無縁の存在だったのかもしれない。優しいタッチの小さな絵画の数々に、アンダーソンはどんな答えを見つけたのだろうか。

text: Mio Koumura

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