「エルメス」麻布台ヒルズに自然の美しさをたたえた新店舗をオープン

「エルメス麻布台ヒルズ店」を手掛けたのは、エルメスの空間づくりを一貫して担当するパリの建築設計事務所RDAI（レナ・デュマ・アルシテクチュール・アンテリユール社）。自然を尊重し、内と外を緩やかにつなぐ日本の住居建築独自の空間が生かされたデザインになっている。

建物のファサードを覆うのは、和紙を挟んだ半透明のガラス。背後には箔の技法に着想を得た発光パネルが設置され、夜になると、建物自体が灯籠のように美しく光り輝く。

店舗に足を踏み入れると、まず登場するのがメンズコレクション。中央のオープンスペースには、レザーグッズやジュエリー、時計、馬具のコレクションがそろう。もう一つのエントランスから入ると、ウィメンズコレクション、シルク、フレグランス、ファッションアクセサリーが並ぶフロアへとつながっている。

また2階には、フランス・パリに位置するエルメス第1号店「フォーブル・サントノーレ店」にある屋上庭園を思わせる空間が広がる。

エルメスの2024年の年間テーマは「フォーブルの魂」。フォーブル店の屋上庭園で1940年代から大切に育てられてきた“りんごの木”が物語るこのエルメスのスピリットを、麻布台の地に受け継ぐため、本店舗の1階エントランス横にもりんごの木が植えられている。

店内には、エルメス3代目社長であるエミール・エルメスが収集した「エミール・エルメス・コレクション」から厳選されたスケッチや絵画に加え、フランス人アーティストのヨッヘン・ゲルネールによるイラスト、同マクサンス・リフレ、アメリカ人アーティストのテリー・ワイフェンバックによる自然を捉えた写真など、古典からコンテンポラリーまで幅広いアートワークを展示。

2階のテラスにも、フランス人アーティストであるシルヴィ・オーヴレによるセラミック作品「プティット・ビュル」（2022年）が飾られている。麻布台ヒルズの中央広場を見渡すこのテラスでは、毎年異なるアーティストによる作品展示が予定されているので、今後の展開にも期待したい。

text: Tomoe Tamura

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