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銀座メゾンエルメスにて4人のアーティストによるグループ展「つかの間の停泊者」を開催

2008年に非営利団体としてパリで発足した「エルメス財団」が、アートにおけるエコロジーの実践を問う「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展のダイアローグ2「つかの間の停泊者」を、銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催。会期は、2024年2月16日(金)から5月31日(金)まで。

「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展は、個展とグループ展による二つのダイアローグ構成。ダイアローグ1「新たな生」崔在銀展に続き、ダイアローグ2「つかの間の停泊者」では、ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカの4人のアーティストを取り上げ、コンテンポラリー・アートというプラットフォームの中で生成される自然と人間のエネルギーの循環や、対話の可能性を考察する。

ニコラ・フロック

Nicolas Floc’h、Installation view of Paysages productifs, Couleur de l’eau | 2019 | Photography、Photo: Laurent Lecat / Frac Sud, Cité de l’art contemporain

1970年、レンヌ(フランス)生まれの写真家。ビジュアル・アーティストとしてパリを拠点に活動している。自然光下で水中の風景を撮影したモノクローム(単色)のドキュメンタリー写真で知られており、自然環境の移ろいの過程において、流れ、消失、再生が果たす本質的な役割を問い続けている。

Nicolas Floc’h、Paysages productifs, Initium Maris | 2016 | Photography、Île d’Ouessant, luminaires, – 8m

本展では、カランク国立公園の委託事業である『Invisible(インヴィジブル)』(2016~2021)や、緑と青の色調を水から取り出した『La couleur de l’eau(水の色)』(2018~2020)など、通常は目にすることのない地球環境や人間活動の領域を科学的に、またコンセプチュアルな手法で記録する代表シリーズを紹介する。

ケイト・ニュービー

Kate Newby、Let me be the wind that pulls your hair | 2017 | Porcelain, stoneware, glaze, rope Artpace, San Antonio、Photo: Kate Newby

1979年、オークランド(アオテアロア・ニュージーランド)生まれ。現在はフローレスビル(テキサス、米国)を拠点に活動し、さまざまなアクションを通じて、場との関係性を構築するサイト・スペシフィックなプロジェクトの実践を行っている。日常的な身ぶりや物を用いて多様な状況をつくり、現代美術の展示・鑑賞・収蔵の新しいあり方に挑戦している。

Kate Newby、FIRE!!!!!!! (detail) | 2023 | Terrazzo, indigo Fabric Photo: Go Itami、Courtesy of Mori Art Museum and the Fondation d’entreprise Hermès

ケイト・ニュービーは、本展のために現居住地であるテキサスと栃木県益子町でセラミック制作を行った。協働する複数の手によって生み出された彼女の作品は、ささやかな日常の集積や風土を含み、増殖するかのように空間を占拠し、私たちの身体に親密な触覚をもたらしてくれる。

保良雄

Takeshi Yasura、this ground is still alive | 2022 | Installation Reborn Art Festival 2021-22, Miyagi、Photo: Taichi Sato

1984年、滋賀県生まれ。現在は、フランスと日本を拠点に活動。テクノロジー、生物、無生物、人間といったさまざまなアクターを縦軸ではなく横軸で捉え、存在を存在として認めることを制作の目的としている。また、鉱石や水といった物質の状態変化に着眼し、相関する時間軸を浮かび上がらせ、種子をまく、耕す、採取する、植え替えるといった畑作業を日々営んでいる。

Takeshi Yasura、fruiting body| 2021 | Installation、ATAMI ART GRANT, Shizuoka、Photo: Takehisa Naoki

本展では、地球太古の時間と都市の地政学を持ち込むことで、優劣や格差を潜在的に生み出してもいるエコロジー思想に批判を込めたアプローチを展開する。

なお、ケイト・ニュービーと保良雄は、本展の関連プログラムである森美術館「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展にも出展している。

ラファエル・ザルカ

Raphaël Zarka、Cycloid Ramp | 2016-2018 | Spruce beams, painted birch plywood, steel、Skaters: Hugo Boserup & Fernando Bramsmark、Photo: Maxime Verret

1977年、モンペリエ(フランス)生まれ。パリを拠点に活動している。幾何学的形態の変遷について、芸術や科学技術のみならず、スケートボードといったポップ・カルチャーの側面からも学際的に探求。その活動は、彫刻や写真、ドローイングから執筆まで多岐にわたる。

Raphaël Zarka、Cycloid Ledges | 2022 | Oak、Skaters: Hugo Boserup & Fernando Bramsmark、Commissioned by Nozbone skateshop, France、Courtesy the artist and Galerie Mitterrand, Paris、Photo: Thibault Le Nours

ラファエル・ザルカは、美術史を再訪しつつ、過去の作品の流用と再利用に見いだされる可能性を、エネルギーが新たな回路へ接続するプロセスとして解釈し、建築やアートの生態系を拡張。『Riding Modern Art(ライディング・モダンアート)』(2007~2016)は、幾何学的なパブリックアート作品に潜在する動きのダイナミズムが、スケートボーダーによって可視化されるさまを写真に納めたシリーズで、東京日仏学院においても作品展示が行われる。

ほんのつかの間、惑星に停泊するものたちの間のエネルギーの循環や共鳴、そして希望を、アートとエコロジーのダイアローグとして、それぞれの作品から感じられるはず。

text: Tomoe Tamura

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関連情報
  • 「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」
    ダイアローグ2「つかの間の停泊者」ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカ
    会期:2024年2月16日(金)~5月31日(金)
    開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
    入場料:無料
    会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
    住所:中央区銀座5-4-1
    TEL:03-3569-3300
    ※ギャラリーは銀座店の営業に準ずる。
    ※開館日と開館時間についての最新の情報は、以下ウェブサイト参照。
    公式サイト:https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/240216/


    【関連企画】
    森美術館開館20周年記念展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」
    会期:2024年3月31日(日)まで
    会場:森美術館
    公式サイト:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/eco/index.html


    【その他】
    「ライディング・モダンアート」ラファエル・ザルカ展
    会期:2024年2月17日(土)~4月21日(日)
    会場:東京日仏学院
    公式サイト:https://culture.institutfrancais.jp/event/exposition-riding-modern-art-by-raphael-zarka

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