×

バレエやダンスをたたえる 「シャネル」2024春夏オートクチュール

シャネルの2024春夏オートクチュールコレクション。ショーの冒頭には、シャネルがこのショーのために制作した短編映画「The Button」の一部が大画面で流れ、その後、天井に吊るされた巨大なシャネルのボタンがランウェイ中央までゆっくりと降りてきて、ショーがスタートした。

シャネルの2024春夏オートクチュールコレクション。

イメージの源は、女性解放の象徴「ボタン」

今回のコレクションでは、短編映画と同様に、シャネルにとって重要なアイテムの一つである「ボタン」が再解釈された。ボタンはガブリエル・シャネルにとって、単に衣服の開閉を容易にする実用品としての装飾であるだけでなく、女性の解放を意味する。かつて女性たちの動きの制限から解放し自由にしたボタンへの敬意は、ボタンを宝石のように扱うシャネル独自の宝石ボタンとして、ジャケットやシャツを飾る貴重な存在となっている。

アーティスティック・ディレクターのヴィルジニー・ヴィアールは、解放の象徴としてのボタンを起点に、バレエやダンスなど、軽やかに宙を浮くダンサーたちの類まれなる肉体美と軽やかで優美さの世界を表現した。2024年はガブリエル・シャネルがバレエ作品の衣装を最初に手掛けてから100年を迎える記念すべき年でもあり、現在に至るまでシャネルとバレエ団や振付師、ダンサーたちと友好な関係が続いていることもこのテーマを選んだ理由だ。チュール、フリル、プリーツ、スパンコール、レース、リボンなどの要素で構成されたコレクションは、身体の力強さと衣服の繊細さを見事に融合させた。

ファーストルックは、短編映画「The Button」の主演を務めた女優マーガレット・クアリーがゴールドのボタンとラッフルカラーが特徴的なホワイトのツイードジャケットで登場。ショーの前半は白とパステルカラーの水彩画のように優雅で繊細なアリュールが続く。

続いてバレエのチュチュのスカートにジャケットを合わせたルックや、花畑のようなかぎ針編みのジャケットドレスからチュチュがのぞくルックが登場。

卓越した職人の技術によるレースのジャンプスーツや、ツイードとチュールを切り替えたロングスカートなど、どれも軽やかで風になびく美しいシルエットだ。

全ルックを通してモデルの足元はバレリーナの白いタイツで統一され、まるで今にでも踊りだすかのような躍動感にあふれ、優美さと自由をあらゆる動きで表現した。

text: Keiko Suyama

93歳女性アーティストのインスタレーションが飾る、「ディオール」2024春夏オートクチュール
「シャネル・ネクサス・ホール」で写真家ジョージ ホイニンゲン=ヒューンの日本初個展を開催
「シャネル」が提唱する総合的な美容の世界とは?

リンクを
コピーしました