予期せぬ美しさ2024年春夏パリコレクション
2023.11.30
9月25日から10月3日までの9日間開催された2024年春夏パリコレクションは、長く続いたコロナ禍から解き放たれて、華やかさを増した。様々な新しさが披露される中、際立っていたのは「予期せぬ美しさ」を見せたブランドだ。
2023.11.30
9月25日から10月3日までの9日間開催された2024年春夏パリコレクションは、長く続いたコロナ禍から解き放たれて、華やかさを増した。様々な新しさが披露される中、際立っていたのは「予期せぬ美しさ」を見せたブランドだ。
「見たことのない、ありふれたもの」をテーマに掲げたのは、「ドリス ヴァン ノッテン」。
チノクロスのほか、シャツに使われるストライプのポプリン、洗いをかけたデニムなど、日常の服で使われる素材や、ラガーシャツ、グログランのリボンで縁取りされたクラブジャケット、ラグランスリーブのコートなど、定番的で保守的と受け止められがちな服を再構築し、その組み合わせと形で新たなスタイルを提案した。もともと様々な要素を自由な発想で組み合わせ、独自の世界を表現しているブランドだが、新鮮で取り入れてみたいスタイルが目白押しだった。
メアリー=ケイト・オルセンとアシュリー・オルセン姉妹が手がける「ザ・ロウ」は、世界的な潮流となっている「クワイエット・ラグジュアリー」をリードするブランド。「これみよがし」のスタイルと対極で、目立ち過ぎず上品、そして上質さを追求し、進化させている。
ジャケットやパンツなどオーバーサイズの流れの中で、トレンチコートの襟元にさりげなく巻いているのが上質のタオルだったり、足元のスリッパ風の履物だったりと、意外なアイテムにちょっとにっこり。ゆったりした1枚のTシャツも最高の肌触りだ。
形はシンプルながら、素材選びなど細部までこだわった作りは、着た人の心と体を豊かな気分にさせてくれるぜいたくさが凝縮されている。
日常着にフォーカスしながら、プロポーションの変化で新たなシルエットを打ち出したのは、「ロエベ」。会場には、アメリカの女性彫刻家リンダ・ベングリスの大きなブロンズ製の作品が6点展示された。
最初に登場したのは、デフォルメされたような大きな金ボタンのついたニットのケープ。太い毛糸で編んだ大きな編み目の細長いシルエットだ。組み合わせたのはデニムのパンツ。パンツ類は極端なハイウエストで、新たなトレンドとなりそう。ジャケットやカーディガンなどにもひねりが加えられている。
またパンツのウエストやドレスの胸元に留めたゴールドの巨大なピンのほか、イヤリングなどは、リンダ・ベングリスによるアーティスティックなデザインだ。
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©︎marie claire/text: Izumi Miyachi
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