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【パリ駐在員レポート】「ヴァン クリーフ&アーペル」と蜷川実花さんが美しく響き合うパリの「フローラ」展

ヴァン クリーフ&アーペルは、写真家の蜷川実花さんや建築家の田根剛さんと協同し、パリのヴァンドーム広場にあるオテル・デヴルーで、ジュエリーと花が美しく響き合う「フローラ」展を11月14日まで開催しています。フランスのハイジュエラーと日本の気鋭アーティスト……。この奇跡的なコラボレーションにより実現した展覧会を体験してきました。

ヴァン クリーフ&アーペルの「フローラ」展では、過去のコレクションや現代のジュエリーなどメゾンの100点以上の作品が、色鮮やかな花々の写真と共に展示されています。暗闇の中で、映像とジュエリーと鏡が交錯する会場はまるで夢の世界に迷い込んだよう。

光を反射するガラスの壁に蜷川さんの写真が映し出され、映像は刻々と変化していく
展示されたジュエリーは鏡で囲われ、万華鏡の中に身を置いたような没入体験ができる

今回のコラボレーションのきっかけは、2017年に開催された、ヴァン クリーフ&アーペルの東京での展示会。そこでヴァン クリーフ&アーペルと蜷川さんが出会い、今度はパリで実施したいというメゾンからの想いが蜷川さんに託され、「フローラ」展という形で実を結びました。

「私たちのメゾンは様々なジャンルのアーティストとコラボレーションしてきた長い伝統があります。蜷川さんは気鋭の写真家としてずっと注目してきました。彼女の作品には独特の世界観があり、カラフルで躍動感があります。そのような花々の写真とジュエリーとのコントラストは非常に美しいアプローチになると思いました。」と、ヴァン クリーフ&アーペルの二コラ・ボスCEOは話しています。

パリのヴァンドーム広場にあるオテル・デヴルーにて行われた記者会見

それに対し、蜷川さんは「写真は、自分がどのように世界を捉え、何に感動しているか、そのままの感情が残せるメディアです。花というのは一瞬で消える儚(はかな)いもの。その輝きを写真に写し、不変なものにしたいのです。ヴァン クリーフ&アーペルは、花の表現のアプローチとして近いものがあり、今回のコラボレーションを通して、とても幸福なクリエーションができました」と語りました。

風が吹いて花が揺れた一瞬の美しさを貴石に込めたジュエリーが、今回の展示作品の中で蜷川さんの一番のお気に入り。「1938年に作られたものが鮮やかに残り、今だ人の心を打つのが素晴らしい」と驚愕する

蜷川さんは、本物のジュエリーを見たときに圧倒的なパワーを感じると言います。日本の皆さんに見せられるものは、なるべく発信していきたいですが、この空間で実際に見て、体験してもらいたいというのが本音のようです。この展覧会が近いうちに日本でも開催されることを願わずにはいられないです。

ヴァンドーム広場にある「ヴァン クリーフ&アーペル」本店のショーウィンドウでは、花の写真を背景にして、花を象った数々のジュエリーが全面に飾られている

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Profile

島田和春 読売新聞東京本社広告局パリ駐在事務所

渡仏から約1年。ロックダウンを経て、ようやくレストランにも美術館にも地方都市にも行けるようになり、本来のフランスの素晴らしさをじわじわと体感し始めている。

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