×

サンローランと国立新美術館が共催 蔡國強の大規模個展「宇宙遊 ─〈原初火球〉から始まる」

火薬を用いた壮大な作品で、国際的に注目を集める現代美術家・蔡國強。クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロがリードするサンローランのサポートにより、東京・六本木の国立新美術館で逢坂恵理子(国立新美術館)の企画によって個展が開催されている。サンローランにとって使命ともいえる、ビジュアルアートや映画、音楽などさまざまなクリエイティビティに対する支援の最も新しい機会だ。本展では蔡の歩みを辿り、展示室全体が一つのインスタレーションのように構成される。開幕前に、自身や展示について作家に尋ねた。

蔡國強は火薬を用いた絵画やインスタレーション、屋外爆発プロジェクトなど、スケールの大きな作品を創造し続けてきた。大空に抽象画を描くような花火は世界を魅了し、2008年の北京五輪と2022年の北京冬季五輪で、開閉会式の視覚特効芸術と花火監督を担ったことも記憶に新しい。

YSL サンローラン 蔡國強
蔡國強 「胎動 II: 外星人のためのプロジェクト No. 9」の制作風景 1991年 
提供: 蔡スタジオ

蔡は1957年、中国・福建省泉州に生まれた。風水や占星術と親しむ古都で育ち、宇宙や目には見えない世界に関心を抱く。書家・画家の父を持ち、芸術は身近だった。「泉州は文人気質が色濃く、多くの伝統が残っています。人々は菊や蘭の絵を描いたり、中国五千年の歴史を讃え合っていたりする。父の友人が泊まりに来ては、絵や書に勤しんでいました。私は自然な流れでアーティストの道を進んだのです」

故郷では慶事に爆竹を鳴らす風習があった。やがて火薬を作品制作に使用するようになる。

「私は物事を細かく厳密に考える傾向があり、絵を描く時も理性的で慎重になりすぎる。幼い頃からこの性格を克服したいと願っていました。そこで制御できない素材を探し出して、自分を破壊してやろうと考えたわけです。火薬の魅力は制御の困難さと偶発性にあります。アーティストの仕事とは、こうした不確定な特質との力比べではないでしょうか」

地球にやさしく、お洒落!グリーンなクローゼットのための最旬アイテム

関連情報

リンクを
コピーしました