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「東京クリエイティブサロン2023」3者が語る、東京のファッションとデザインの未来

ファッションが文化になるきっかけに 

TCSファッション統括ディレクター 松井智則氏 

東京クリエイティブサロン ファッション統括ディレクター 松井智則

ファッション領域を統括するのは、国内外約50ブランドのPRやブランドコンサルティングに携わるPR01.(ワンオー)の松井智則氏。もともと松井氏は2011年10月から渋谷エリアでファッションのお祭り「SHIBUYA FASHION FEESTIVAL(通称シブフェス)」(2019年からは渋谷・原宿エリアで開催する「シブハラフェス」)を立ち上げプロデュースしてきた。 

「渋谷・原宿はファッションが地場産業なのに、そこに買い物にくる一般のお客様を巻き込んだファッションのお祭りがなかった。それで作ったのがシブフェス(現シブハラフェス)です。TCSはその大規模版だと思うので、コンセプトは同じ」

ファッションやデザインという東京がもつ魅力を発信すること。国内外に知ってもらうこと。それによってファッションやアート業界で働く人々の地位向上にもつなげたいという。 

「ファッション業界って、日本だと就職先として親が良い顔をしないんです。でも海外だとファッションやアート関係って評価が高い。それを見て、日本でもそうなるようにしたいと思いました。パリコレで発表すると有名になるけど、日本ファッションウィークに参加しても文化人という立ち位置にはなりにくい。だったら、そうなるようなイベントを作ろうと。ファッション業界の人が文化人として誇りを持って働けるようになることが重要だと思っています」

松井氏が齋藤氏と最初に決めたのが、6つのエリアごとのブランディングだ。 

「例えば渋谷・原宿ならアヴァンギャルドなブランド、銀座はラグジュアリー系、日本橋は100年以上続いている街だからサステナブル系のイベントに力を入れよう、羽田は人が行き交う場所だから合同展示会にしよう、というように。すべてのエリアを楽しめるように見どころを分けました」 

目指すのは、ファッション・ウィーク期間中は街全体が盛り上がるパリのような「TCSの時期は東京全部が盛り上がっている」という雰囲気。そのためには官民一体となる施策が必要だという。 

「パリや韓国は、ファッションを官民一体となって支援しているんですよ。日本はこれまで、ファッションをストリートだけで支えて、国が支えなかった。12年前にクールジャパンが立ち上がったときも、ファッション以外のカルチャーに力を入れた。だから文化になりづらかったんです。TCSは東京都が支援してくれているのでファッションを文化にするいい機会だと思います」。

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