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クリスマスのヒーロー、サンタクロースの国籍は?【鹿島茂と猫のグリの「フランス舶来もの語り」】

メリークリスマス!

いよいよクリスマスまで、カウントダウン! プレゼントを持ったサンタクロースはやってくるのか……は当日までのお楽しみ。まずはこの“永遠のアイドル”の誕生について、フランス文学者の鹿島茂さんが愛猫のグリ(シャルトリュー 10歳・♀)と解説するこちらの記事をどうぞ!


カトリックとプロテスタントでは盛り上がりが違う


旅行会社の組むツアーに「クリスマスをパリで!」と謳(うた)うものがあるが、フランスのクリスマスというのは、フランス人の友人がいてイヴのレヴェイヨン(reveillon・真夜中の夜食)にでも招待してくれるのでないかぎり、それほどおもしろいものではない。

というのも、クリスマスはカトリックの重要な儀式なので、宗教的なミサはあっても、世俗的な盛り上がりには欠けるからだ。レストランは早目に閉まってしまうし、通りにも人影はまばらで、寂しいかぎりである。

クリスマスを華やかなお祭りとして祝うのは、どちらかといえばプロテスタントの国、なかんずくアメリカである。

世界で一番心躍るクリスマスは、まちがいなくニューヨークのそれである。それもそのはず、その昔ニュー・アムステルダムと呼ばれたこの地で、子供たちの永遠のアイドル、サンタクロースが誕生したからである。

Profile

鹿島茂

かしましげる 1949年横浜生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。専門は19世紀フランスの社会生活と文学。1991年『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞、96年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、99年『愛書狂』でゲスナー賞、2000年『職業別パリ案内』で読売文学賞、04年『成功する読書日記』で毎日書評賞を受賞。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。書評アーカイブWEBサイト「ALL REVIEWS」を主宰

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