世界的に珍しい“モール温泉”やアイヌ文化を体感できる湯宿「界 ポロト」。隣接する国立施設「ウポポイ」を解説してくれる園内ツアーも開催中
北海道の白老町・ポロト湖畔に立ち、湖にせり出したように設計されたとんがり屋根の湯小屋が特徴的な湯宿「界 ポロト」。全客室から湖を眺められるのはもちろん、多くの野鳥が生息する北海道の天然林や、その先にある樽前山を見渡すことができる。アイヌ文化を尊重し、異なる民族との共生を体験できるようにデザインされており、世界的にも珍しい太古の植物由来の有機物を含有した「モール温泉」を楽しむことができる。
ご当地部屋「□の間(しかくのま)」
ポロト湖に面した全客室(4タイプ)は、アイヌ民族の伝統的住居「チセ」(アイヌ民族の家)から着想を得て設計されている。伝統的なチセの中心にあった四角い「炉(ろ)」をイメージしたテーブル、アイヌ民族の生活から着想を得たアート作品などが設置され、壁紙やクッションには、アイヌ文様が施されている。
また、窓の外には穏やかなポロト湖と白樺やカエデが繁る天然林が広がり、室内に設えられた白樺の丸太と相まって、雄大な自然に溶け込むような感覚に包まれる。
「モール温泉」が楽しめる二つの大浴場
世界的にも珍しい「モール温泉」は、天然植物由来の腐植質の有機物を含有し、独特な茶褐色の湯が特徴。皮膚の再生を促進させる働きがある「フミン酸」や、皮膚コンディショニング作用(※1)のある「フルボ酸」を含んでおり、それらの成分が化粧品にも配合されることから、「美肌の湯」ともいわれている(※2)。
※1 Cosmetic-Info.jp 成分詳細より
※2 北海道の月刊誌「しゃりばり」No.292(2006年6月)掲載文書(道立衛生研究所 青柳直樹)より
「△湯(さんかくのゆ)」
「△湯」があるのは、アイヌ文化の建築特徴である「ケトゥンニ(三脚構造の木)」を基本構造とした「とんがり湯小屋」の中。
内風呂は、源泉かけ流しの「あつ湯」と心身を鎮静させる「ぬる湯」の二つを備え、ポロト湖にせり出している露天風呂では、新緑、紅葉、雪景色と四季折々に変わる景色とともに、ポロト湖との一体感を感じる湯浴みが楽しめる。
「〇湯(まるのゆ)」
湖上にたたずむ開放的な「△湯」に対し、「〇湯」は、洞窟の中や地中にいるかのような空間。大地から湧き出る茶褐色のモール温泉を実感できるように設計されており、内風呂のドーム天井の頂部には外とつながる丸い穴があいており、ポロト湖の自然を感じる柔らかな光が差し込んでくる。