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これから来そうな和アイテム~お役立ち編 中川政七商店の「大日本市」

「大日本市」の会場では、アパレルや雑貨、食べ物など和を感じるアイテムが勢揃い。いずれも撮影は繁田統央

かわいいデザインや気の利いた機能をもつ雑貨や小物を次々と世に送ってくる中川政七商店が、全国各地に隠れている逸品を広く紹介するために開いている合同展示会が「大日本市」です。プレゼントでも、自分用でも、ホメられたらちょっとうれしい。そんなモノにたくさん出逢えました。

都内の会場には、全国津々浦々から過去最大となる65のブランドが集まりました。面白いモノは何かないかと探し回るバイヤーさんたちがギラギラと熱い視線を送っています。

いきなりですが、ここで残念なお知らせです。このステキな展示会は一般には公開されていません。バイヤーでもないのに大変申し訳ないですが、私が皆さんの代わりにじっくり中を見させていただきました。その中から、これはというオススメのアイテムを紹介します。

初回となる今回の記事では、暮らしの中でちょっぴり役立つグッズをお届けします。

2回目のキッチン編はこちら

中川政七商店の店舗で取り扱っている場合もありますし、一部の小売店やネット通販で購入できます。気になったらぜひ探してみてください。

紙で日常にプラスα 大成紙器製作所

「大成紙器製作所」を展開するTAISEIは大阪府東大阪市にあり、化粧品をしまう紙の箱などを作ってきた会社です。紙で複雑な形を頑丈に作ったり、微妙な色合いを出したりするのはお手の物。こうした技術を生かして、文房具などの日用品を作っています。

自宅で仕事をする機会は増えていますが、私も机の上や引き出しの中がついごちゃごちゃしちゃって、困っています。すっきり片付けたいのは、やまやまですが、100均のプラスチック製品やお菓子の空き箱とかはいかにも味気ないです。こんな時に活躍するのが、PLEATS TRAYです。

筆箱ほどのサイズの箱に、きれいに波を打った厚紙が敷かれています。ちょっとした仕切りになるので、文具やイヤホン、あるいはアクセサリーを入れておくと、取り出しやすく、探しやすいです。厚紙の途中まで切り込む「ハーフカット」という技術を使って、折れ目をつけているので、形が崩れません。紙ならではの柔らかい色にも気分が落ち着きます。

サングラスやカギなどの小物は机に直接置くと、少し無愛想な感じがします。ちょっとしたトレイの上に置くだけで、印象ががらりと変わります。 TWO TRAYは、厚紙を組み立てた箱に紙を貼り合わせる貼箱加工の技術を応用しています。深みのある2つの色の紙によるシンプルな構図ですが、見ていて飽きません。紙というより、木の温かみを覚えます。

子どもたちにちょっとしたお金をプレゼントするときなどに使う昔ながらのポチ袋。これを筒形にしたのが、POCHI-PONです。フタを外すと、シャンパンのように「ポン!」というおめでたい音が響きます。フタと本体が精密に計算されたサイズ通りに加工できているからこその音色です。お札は丸めて入れればシワにならないし、お菓子を入れても喜ばれそう。オフィスに持っていって、印鑑ケースにしている人もいるそうです。持っているだけで、うれしくなります。

なんでも「つつみたい。」 226(つつむ)

「サイフク」は日本一のニット産地である新潟県五泉市で、50年以上続くニット専業メーカーです。ニット編みの伸びるという特徴を生かし、なんでもつつんでしまおうというコンセプトを打ち立てて展開しているのが、「226」(つつむ)というブランドです。

女性にとって大敵の一つは冷えです。冬場だけでなく、クーラーがきいた夏場も油断できません。体を「つつむ」といえば、そう、ハラマキです。ハラマキは服の下に隠すのが常識ですが、226は、その名も「見せるハラマキ」という商品を開発しました。

通常より丈が長いので、ハラマキの裾が上着の下からはみ出ます。重ね着しているように見えるデザインにしたのがポイントです。

おなかの部分は1本、裾部分は5本と糸の本数を変えることで、厚みに差をもたせ、着ぶくれを防いでいます。ウエストはストレッチ糸も入れて編んでいるので、長い時間つけていても、きつく感じられません。

季節によって使い分けられるように、素材はウールとオーガニックコットンの2種類。お尻をすっぽり覆うロングタイプもあります。

ボトルをつつめば立派な花瓶に変身。スマホをつつめば衝撃防止のカバーに。商品のアイデアは次々と広がっています。

サンダルをアップデート HEP

近所のコンビニに行っても、クロックスを履いている人だらけだったりします。楽ちんで便利ですけども、ちょっと人とは違ったものを身につけたいという人にお勧めしたいのが、川東履物商店(奈良県大和高田市)が「HEP」というブランドで展開する日常使いのサンダルです。

つま先部分が空いていて、かかと側にも留め具などがない形のサンダルを「ヘップサンダル」と呼びます。映画の中でオードリー・ヘップバーンが履いていたことに由来するそうですが、ぶっちゃけて言うと、「突っかけ」です。コスパ重視で、正直あまりオシャレな製品はないイメージでしたが、HEPは外部デザイナーを起用し、素材や形状を大きく見直したのです。

「DRV」はタクシー運転手に愛用されたモデルを現代風にアレンジ。実家で昔見たようなサンダルと比べて、やや引き締まった形。つやのあるフェイクレザーを用いて、サンダルらしからぬ(ごめんなさい!)上質感を出しています。かかと部分は車のペダル操作がしやすいように、斜めに削られているのも、細かな配慮です。

男女兼用です。HEPのサンダルは、靴下と合わせて履くというスタイルでも好まれているそうです。

「日本の工芸を元気に」中川政七商店の思い

改めて、中川政七商店について説明しておきましょう。

読み方は「なかがわまさしち」です。創業は1716年。武士の裃(かみしも)や僧侶の衣などとして使われていた奈良晒の取引をしていました。1925年のパリ万博にも麻のハンカチーフを出展しています。

丁寧な手仕事による工芸品でファン層を広げ、2003年には「粋更kisara」というブランドをおこし、2006年には「表参道ヒルズ」に出店。2013年には東京駅近くに初の大型店「中川政七商店 東京本店」を開きました。今年4月に本社のある奈良市に初の複合商業施設「鹿猿狐(しかさるきつね)ビルヂング」をオープン。各地の工芸品が一覧できるうえに、ものづくりを体験するワークショップなども行われています。

「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げています。自社で商品を製造・販売するだけでなく、優れた工芸技術を持つ中小事業者のコンサルティングなども手がけているのです。生産者を支援する意味合いも込め、2018年から「大日本市」を現在の形で開いていて、今回で7回目となりました。

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Profile

戸塚光彦

経済記者としてかつて名古屋に勤務。自動車産業のお膝元だが、より強い興味を覚えたのは、窯業や工作機械。自宅にある実家から持ち出した机は、製造から100年くらい過ぎているらしい。アンティーク家具なのか、ただのガラクタなのか、誰かに教えてもらいたい

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