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従業員食堂にも広がる、「帝国ホテル」のサステナブルへの取り組み

入口には、SDGsへの取り組みを認識できるよう、メニューごとに使われた端材や特徴など、丁寧な解説が添えられている

「帝国ホテル 東京」は、2021年8月に自社運営の従業員食堂「サステナブル カフェテリア エスポワール」を誕生させた。これまで外部に委託していた従業員食堂を、2020年7月の「上高地帝国ホテル」、2021年4月の「帝国ホテル 大阪」に続き自営化。人材育成や食品ロス削減に取り組む場ともなっている。

1890年に日本の迎賓館としての役割を担って開業した「帝国ホテル」。初代会長の渋沢栄一が最も大切にしていた公益の精神は、SDGsという言葉が生まれる遥か以前の開業当時より、130年以上にもわたって継承されてきた。企業理念は、ゲストへのホスピタリティはもちろん、環境への配慮、サステナビリティへの取り組みへと反映されている。そして、同様に大切にされているのが、ホテル運営を担う従業員が就業しやすい環境づくりだ。

逆境を革新へのチャンスに 

その一環として生まれたのが、自社運営の従業員食堂「サステナブル カフェテリア エスポワール」。活躍しているのは、松浦永幸シェフ率いる社員19名(2023年4月現在)。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、レストランの休業や宴会中止が相次ぐ中、ホテルの財産である人材を守る役割も果たした。業務量が減少する中でも、人材を有効活用できるだけでなく、スタッフ自らがメニューを発案・開発する機会が増えた。そうすることでモチベーションアップに繋がるとともに、売り上げ・原価管理なども経験することで更なる人材育成の促進に。若手料理人にとっては良き実践の場であり、先輩料理人との繋がりの場にもなっている。

帝国ホテル エスポワール
従業員食堂のチームを率いるのは、宴会調理、バーラウンジ、オールデイダイニング、センターキッチンのプレパレーション(ホテル内の仕込みを一括して担うセクション)などを担当した松浦永幸シェフ
帝国ホテル エスポワール
コックコートには、SDGsのロゴカラーとともにフランス語で希望を意味する「ESPOIR(エスポワール)」の文字が

もちろん利用する社員の満足度も高い。特に、週替わりで伝統の味を楽しめる数量限定メニュー「インペリアル」は、レストランと同様の素材とレシピを採用。若い世代に伝統の味と作り方を継承するだけでなく、普段の生活では、「帝国ホテル」の味を食する機会が少なかった従業員にも大好評だ。管理栄養士資格を持つスタッフが、メニューのカロリー表示や塩分表示を行うなど、健康により配慮した献立も追求。昨年10月には、「ヴィーガン」をテーマにしたイベントを開催し、利用する従業員たちに食の多様性を考える機会も提供している。

帝国ホテル エスポワール
端材を活用できるため、各レストランから食材提供の連絡を受けることも増え、ホテル内での連携を日々実感していると話す松浦シェフ
お問い合わせ先

帝国ホテル 東京 03-3504-1111
www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/

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