×

東コレ2024年秋冬コレクションをプレイバック。注目したい6ブランド

3月に開催された、Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 A/W(通称「東コレ」)では、ブランド設立20年のベテランから若手まで、総勢42ブランドがランウェイショーやインスタレーションなど、様々な形式で2024年秋冬コレクションを発表。その中から、マリ・クレール編集部が注目した6つのブランドをレポートする。

歪みが生む官能的な美|AKIKOAOKI

2014年にスタートしたデザイナー青木明子が手がける「アキコアオキ」は、シャツやジャケットなどのアイテムを再構築し、センシュアルに仕上げることに定評があるブランド。

2024年秋冬コレクションは、身体から衣服を剥がすという行為に焦点を当て、ゆがむことによって生じる一瞬の美しさや、正当ではないものを受け入れる寛大な優しさを、官能的な哀愁をもって表現。肌を照らすような美しいイヤリングやネックレスは、フィンランド発ジュエリーブランド「Kalevala」のアイテム。

記憶に残る「舞うための日常着」|Chika Kisada

「チカキサダ」は、元バレリーナという異色の経歴を持つデザイナー幾左田千佳が手がける。2024年の秋冬コレクションは、「頭の中の記憶を表現した」と幾左田が話すように、彼女の幼い頃の記憶をほうふつとさせる、レオタードを着た子供たちが楽しそうに談笑する演出からスタートした。

得意とするチュールのボリュームを強調したスカートなどはもちろん、今季は19世紀から現代までのワークウェアから着想を得たふはくのアイテムも目立つ。ショーでは背筋を伸ばしたり、手を大きく広げたり、ダンスの基礎となるポーズをパターンとして組み込み、Chika Kisadaにとっての「舞うための日常着」を打ち出した。

女性性を自分らしく都会的に。|KANAKO SAKAI

「KANAKO SAKAI」はニューヨークのコレクションブランドなどで経験を積んだサカイカナコが2021年にスタート。2023年に今後活躍が期待されるブランドに贈られるアワード「JFW NEXT BRAND AWARD」を受賞し、初となるランウェイショーを開催した。

「常に社会から当てはめられるものだから、昔から女性性というものが苦手だった」と語るサカイカナコ。セクシュアルな用途でデザインされた下着から着想を得たというハート形にくり抜いたボトムスや、鋭利にとがったコーンブラなど、これまでの「KANAKO SAKAI」にはない女性的なモチーフをあえて取り入れ、再解釈。端正なテーラリングと交えながら、彼女が提案するクリーンで都会的な人間像をアップデートした。

デニムをまとい、自由の翼を獲得せよ|TANAKA

ニューヨークを拠点にする日本人デザイナーのタナカサヨリとディレクターのクボシタアキラが手がける「TANAKA」。デニムとTシャツからスタートし、性別を超えて永く愛される衣服を提案している。

今季の出発地点は、自由を制限されていることへの憤りや怒り。ブランドにとってデニムとは「自由の象徴」であり、自由を与えてくれる翼。プリントやスタッズなどで多くのアイテムに翼のモチーフを忍ばせた。ラストルックはデニムをアートに昇華させたいという「TANAKA」らしい、こんしんのクチュールドレスも。

個性を引き出す “デイリークチュール”|mister it. 

仏メゾンのオートクチュール部門で経験を積んだ「mister it.」デザイナーの砂川卓也は、今回初のランウェイショーを開催。大切にしてきた「COUTURE RHYTHM.=仕立てのリズム」をテーマに据えた。服作りの過程でデザイナー自身が耳にするミシンなどの音だけではなく、服を通じた人と人とのつながりに潜む隠れたリズムを指すのだという。

ヴィンテージのスカーフを組み合わせたドレスや、手編みのカウチンニット、確かな技術により仕立てられたセットアップジャケットなど、着る人の個性を引き出すような服は、まさに “デイリークチュール”。ハートのアクセサリーなど遊び心も加え、これまで発表してきたブランドの幅が垣間見えるコレクションを披露した。

“強きロマンチスト”のためのドレス|HAENGNAE

1992年生まれのデザイナー、アンナ チョイが手がけるHAENGNAEは、“強きロマンチスト”のための服を掲げるブランド。「夢を現実として魅せる“舞台”」とデザイナーが語る初のランウェイショーでは、会場のしつらえからこだわり、香りの演出も。デビューショーと同じ“loving philosophy(愛する哲学)”をテーマに「愛の赤」「優しきベージュ」「芯の強さを表す黒」の3色を軸としたドラマティックなドレススタイルを披露した。

ギャザーをたっぷり寄せたボリューミーなアームカバーや、オリジナルロゴを刺しゅうしたセンシュアルなチュールアイテムなど、ブランドが大切にしてきたアイコニックなディテールをアップデート。強く華やかなロマンチシズムに満ちた世界観を表現した。

text: Azu Satoh edit: Mio Koumura

・10年を振り返りつつ、ニコラ・ジェスキエールは未来へ 「ルイ・ヴィトン」の2024秋冬コレクション
・ありのままの自分でいられる服を。新生「クロエ」は女性のエネルギーと自由を表現

リンクを
コピーしました