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【シネマ・コレクション】 結婚を描く楽しい映画ならこの3本

愉快で楽しい、結婚に関連する映画を紹介します

結婚を描く映画は数えきれないほどあるけれど、とびっきり楽しくて個性的な映画を3本紹介しよう

結婚を描く映画は、洋の東西を問わず、数えきれないほど撮られてきた。何を選ぶか迷うところだけれど、今回はとびっきり楽しくて個性的な作品を紹介したい。

ルーシー(ドリュー・バリモア)は、交通事故の後遺症で、記憶が1日で失われる短期記憶障害になっていた 
©2004 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

短期記憶障害の女性に毎日告白

まずは『50回目のファースト・キス』(2004年、ピーター・シーガル監督)。『ウェディング・シンガー』(1998年)でも共演した、アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア主演のロマンチック・コメディーだ。

舞台はハワイ。サンドラーは水族館で働く獣医師、ヘンリーを演じている。サンドラーと言えば、ちょっとドジで間抜けなところがある印象が強いけれど、この映画のヘンリーは、観光客相手に一夜の恋を楽しむプレイボーイという設定。ところがある日、偶然入ったカフェで、バリモア演じるルーシーに一目惚れしてしまう。話し込んで意気投合したのだが、翌日同じカフェに行って親しげに話しかけると、「初対面のクセに!」と怒られてしまう。訳が分からないヘンリーは、カフェの女主人から、ルーシーは1年前の交通事故で頭を強打し、短期記憶を失ったことを告げられる。一晩眠るとその日の記憶は失われ、去年の10月13日の朝に戻ってしまうのだという。

父親と弟は、ルーシーを混乱させないため、毎日、同じことを繰り返す。特注の10月13日付の新聞を大量に用意し、毎朝、ルーシーにそれを渡すことさえしている。舞台をハワイにしたのは、毎日同じ日のふりをしても気候変動がないから気づかれにくい、ということだろう。

当然ながらヘンリーのことも次の日には忘れられている。それでもあきらめられないヘンリーは、ルーシーに会いに行って話しかけるようになる。ルーシーにとっては毎日がヘンリーと初対面。やがて、ヘンリーは、ルーシーが事故で記憶障害になっていること、ヘンリーと付き合っていることなどを説明するビデオを作り、毎朝、それをルーシーに見せてから1日を始めることにする。毎日恋人になり「最初のキスは最高!」と叫ぶバリモアがとてもキュート。芸達者なセイウチなどのかわいい姿もみどころの一つだ。

だけどそんな日も終わってしまう。ルーシーから「重荷になりたくない」と別れを告げられるのだ。意気消沈したヘンリーはアザラシなどの研究のためにアラスカに行くことを決意するが・・・。

『50回目のファースト・キス』
Blu-ray 2,619円(税込)/DVD 1,551円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

ネタバレになるので詳しくは説明できないが、ここからがこの映画の面白いところ。アラスカ行きの準備をしていたヘンリーは、ルーシーの父から1枚のCDをプレゼントされ、矢も盾もたまらず、入院しているルーシーを訪ねる。再会したルーシーは当然ながらヘンリーのことを「知らない」と言う。ところが、導かれて彼女の部屋に入ったヘンリーはあることに驚かされる。と同時に、映画を見ている方もびっくりさせられる展開が待っている。なぜこの映画が「結婚」と関連しているのか。ぜひ自分の目で見て確かめてもらいたい。

さて、この映画、2018年に同じタイトルで日本でもリメイクされている。主演は山田孝之と長澤まさみ。監督は福田雄一。山田の職業設定が違っているほかは、ほとんど同じ展開になっている。両方を見比べてみるのも一興だ。

タイムトラベルで愛を手に入れる?

ティム(ドーナル・グリーソン、右)は、出版社で働くメアリー(レイチェル・マクアダムス)に一目惚れしたが・・
(C) 2015 Universal Studios. All Rights Reserved.

恋愛映画の名手と言えば、英国のリチャード・カーティスだ。脚本家として、ヒュー・グラント主演の『フォー・ウェディング』(1994年)や『ノッティングヒルの恋人』(1999年)、レネー・ゼルウィガー主演の『ブリジット・ジョーンズの日記』(2001年)といった作品を手がけたほか、監督としても、ヒュー・グラント、アラン・リックマン、エマ・トンプソン、リーアム・ニーソン、キーラ・ナイトレイら豪華な顔ぶれで10組の恋模様が同時進行的に描かれる『ラブ・アクチュアリー』(2003年)などを撮っている。どの作品も脚本は綿密に練り上げられ、しかも、おしゃれで愉快。下品な所がほとんどない。

そのカーティス監督による、タイムトラベルをからめたユニークな恋愛映画が『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(2013年)だ。

英国南西端の街コーンウォールで暮らすティム(ドーナル・グリーソン)はある日、父(ビル・ナイ)から、一族の男には過去に戻る能力がある、と告げられる。安直な展開と思うだろうが、過去に戻ることを繰り返すたびに、現実では意図しなかったことが少しずつ異なってしまう。その辺が十分に練り上げられていて、見ているうちに引き込まれていく。いわゆるSF映画とは違い、大げさかもしれないが、運命の巡り合わせや、人生ままならないこともあるということさえ感じさせる物語になっている。

父から“能力”を告げられた年の夏、妹キットカット(リディア・ウィルソン)の恋人のいとこで友人のシャーロット(マーゴット・ロビー)が夏休みを過ごしにティムの家に滞在することになる。たちまち彼女に恋したティムは、思い切ってシャーロットが去る最後の日に告白するが、「最後の日なんて最悪」と言われる。そこで能力を使い、1か月前に戻って告白するが、今度は「最後の夜に」と言われてしまう。「タイムトラベルで愛は手に入れられない」と悟った彼はやがてロンドンに出て弁護士として働き始める。

『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』 
Blu-ray: 2,075 円 (税込) /DVD: 1,571円 (税込) 
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

父の知り合いで舞台脚本家のハリー(トム・ホランダー)の家に下宿するティムは友人と暗闇を売り物にするカフェでメアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会う。互いの姿が見えないまま会話が弾み、店外で改めて彼女の姿を見て一目惚れしたティムは彼女の電話番号を教えてもらう。ティムが帰ると、ハリーは、彼が書いた舞台劇の初演がさんざんな出来となって落ち込んでいた。俳優がセリフを忘れてしまったのだという。ティムは舞台の開始前に戻って俳優に助言し、演劇を大成功に導いた。ところが翌朝、メアリーの電話番号が携帯電話から消えていた。出会ったはずの時間に劇場に行ったために、メアリーと出会わなかったことになったのだ。

さてメアリーを忘れられないティムはどうするか。『50回目のファースト・キス』のヘンリーは、毎日、ヘンリーのことを忘れるルーシーに会って毎回、恋人になる努力を重ねたが、こちらの場合もメアリーにとってティムは全く知らない人になってしまった。ティムは、カフェで彼女がケイト・モスのファンだと話していたことを思い出し、ちょうど開催していたケイト・モス写真展の会場に連日通い詰める。

ようやくメアリーと出会えたが、少し前に付き合い出した恋人がいると告げられる。会えなかった数日間のずれが、状況を変えてしまったのだ。二人があるパーティーで出会ったことを聞き出したティムは、タイムトラベルでその会場に行って、二人が出会う前にメアリーを連れ出してデートすることに成功する。その後もシャーロットと再会したり、妹が交通事故に遭ったり、いろんなことが起き、過去に戻るたびに現実が変化してしまう。DVDなら前の場面に簡単に戻れるから、見直しながら見ても面白いと思う。

ところで結婚式というと、白いウェディング・ドレスがつきものだけれど、この映画の結婚式シーンでマクアダムスが着ているのは真紅のドレス。華やかでかわいらしく、強く印象に残る。Blu-rayの表側の写真がちょうどその場面だ。

ABBAの名曲で織りなす楽しいミュージカル

ドナ(メリル・ストリープ,左端)の一人娘ソフィ(アマンダ・サイフリッド、手前)は結婚式に、父親かもしれない3人の男性を招待した
(C) 2008 Universal Studios and Internationale Filmproduktion Richter GmbH & Co. KG. All Rights Reserved.

『マンマ・ミーア!』(2008年、フィリダ・ロイド監督)は、スウェーデンのポップ・グループABBAの数々のヒット曲を使った同名の舞台ミュージカルの映画化作品。舞台版を演出したフィリダ・ロイドが、映画版でも監督を務め、これが映画監督デビューとなった。

舞台は、ギリシャ・エーゲ海に浮かぶカロカイリ島。小さなホテルをいとなんでいるドナ(メリル・ストリープ)は一人娘のソフィー(アマンダ・サイフリッド)と二人で暮らすシングル・マザーだ。結婚式を控えたソフィーには気になることがあった。それは父親を知らないこと。母の昔の日記を見つけたソフィーは、父親の可能性がある3人の男性に結婚式の招待状を送った。

その父親候補というのが、包容力があるアメリカ人の建築家サム(ピアース・ブロスナン)、優しい英国人の銀行家ハリー(コリン・ファース)、ワイルドなスウェーデン人の紀行作家ビル(ステラン・スカルスガルド)。サムに婚約者がいたことを知った若いころのドナは彼と別れ、その後相次いでハリーとビルに出会っていた。妊娠を知ったドナは父親候補たちに知らせることなく、独りでソフィーを産み、ホテルのオーナーとして暮らしてきた。

かくしてドナ、ソフィー母子と、それぞれにタイプが異なる3人の男の大騒動が、ABBAの明るく、わくわくするようなヒット曲とともに、歌と踊りでにぎやかに描かれる。クライマックスの結婚式場面で、意外な展開が待っているので最後まで注意して見てほしい。

『マンマ・ミーア!』
Blu-ray:2,075 円 (税込)/DVD: 1,571円 (税込) 
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

映画の舞台となっているカロカイリ島という島は実在しない。同じエーゲ海のスコペロス島が主な撮影場所となったようだ。エメラルド・グリーンに輝く海が大変美しい人気観光地で、夏期は多くの観光客でにぎわうという。

2018年には続編の『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』(オル・パーカー監督)が製作された。ドナやサム、ハリー、ビルたちの若いころと、登場人物のその後が描かれている。若い頃のドナはリリー・ジェームズが元気いっぱいに演じている。ちなみにこの続編には、『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』のリチャード・カーティス監督が原案に参加している。

Profile

福永聖二

編集委員、調査研究本部主任研究員などとして読売新聞で20年以上映画担当記者を務め、古今東西8000本以上の映画を見てきた。ジョージ・ルーカス監督、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ、メリル・ストリープら国内外の映画監督、俳優とのインタビューを多数行った。

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