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時間を忘れて居たくなる、本屋さん

読みたい本はオンラインで買う機会が増えた一方で、書店に足を運ぶことでしか得られない楽しみもある。今や書店は単に本を選ぶだけの場所ではなく、本を介したさまざまな体験ができる場所でもある。「仕事で疲れた日、あの書店に行けば癒やされる」、「書店のイベントで趣味の話ができる友人ができた」など、お気に入りの書店があることは、人生の休息にも刺激にもなるのだ。一度入ったら、いつまでもそこに居たくなる、とっておきの書店を紹介しよう。

文喫 六本木(東京・六本木)

読書が趣味の人にも、またひとりで静かにくつろぎたい人にも、あるいは友人と訪れておしゃれな空間でおしゃべりを楽しみたいという人にも、オアシスのような場所としてオープン以来ずっと人気を誇る「文喫 六本木」。 施設は五つのエリアに分かれていて、アートやビジネス、食、文学、コミック等約3万冊もの本がずらっと並ぶ「選書室」や、本の世界に没頭できる「閲覧室」エリア、食事やおしゃべりが楽しめる「喫茶室」などがある。

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入場料は、平日で¥1,650(税込み)。おかわり自由の珈琲や煎茶を飲みながら、心ゆくまでじっくりと本と向き合っていると、あっという間に時間が過ぎていく。訪れる人たちの平均滞在時間が6時間というのも納得の居心地の良さだ。

人気なのは、「選書サービス」の店頭受取コース(¥6,000)。ヒアリングをもとに来店当日までにスタッフが選んだ本が用意されている。自分の嗜好(しこう)に合った本を自分のために用意してもらえるぜいたく感がたまらないというリピーターの声も。会社帰りにふらりと立ち寄るにも、また雨の休日のお出かけにもいい空間だ。

本と珈琲 梟書茶房(東京・池袋)

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一歩入ると目に飛び込んでくるのは、さまざまなタイトルの本が並んだ本棚……ではない。そこに並ぶ本にはすべてブックカバーが巻かれ、一見タイトルが不明なのだ。これらの本は神楽坂の書店「かもめブックス」のオーナー、柳下恭平氏によって選書されたもの。

すべてのブックカバーには、その本に対する紹介文が添えられている。数冊手に取れば、今の自分にピンとくる、読んでみたいと思える本に出合えるはずだ。さらに、カバーには「次に読むならオススメの本」も記載されている。1冊の本が次の本へと導き、読書の楽しいループの中に入っていける、そんな仕組みまでデザインされた書店だ。

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気になる本は、店内で時間をかけて読むことができるのも梟書茶房の魅力。客席は雰囲気の異なる五つのエリアがあり、一席ごとに照明のあるじっくり読書できるエリアや、テラスからの明るい光が差し込む空間、食事やコーヒーも楽しめるゆったりとしたラウンジなどさまざまな席を用意。ハンドドリップで抽出した香り高い珈琲と一緒に楽しめる。

本を購入後、家に帰ってようやくタイトルがわかるワクワク感もたまらない。本との新しい出合い方を体験したい人にも、ぜひ訪れてみてほしい。*シークレットブックはSNSで話題となり棚に並ぶ本が少ない日もあるとのこと。

ROUTE BOOKS(東京・上野)

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上野駅から徒歩3分の場所に、地元の工務店が手掛けるユニークな書店「ROUTE BOOKS」がある。緑あふれるゆとりのある空間に並んでいるのは、料理本や旅にまつわる本、リトルプレスなどセレクトされた本約1000冊。膨大な数の書籍の中ではひょっとしたら埋もれて見逃してしまっていたかもしれない、とっておきの本にも「ROUTE BOOKS」でなら出合えるかもしれない。

地元の人にも愛されているこの小さな書店で楽しめるのは、本だけではない。書店にはパン屋さんが併設。焼きたてのパンを片手に書店内のカフェで読書もできる。さらに、グリーンショップやアートギャラリーなども運営。本を買いに来たはずが、グリーンにひと目ぼれしてしまった、なんてことも。

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さまざまなレッスンを開催しているのも大きな特徴だ。陶芸教室や英会話教室、ギターレッスン、工務店ならではの「木工ワークショップ」も定期的に開催されている。やってみたいと思いながらも躊躇していたことも、本やグリーンに囲まれたこの優しい空間だったら挑戦したいと思えるかもしれない。本はもちろん、新たな人やモノ、趣味と出合いに一度訪れてみては。

恵文社一乗寺店(京都・一乗寺)

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店内に入ると、時間がたつのを忘れてその世界観に浸ってしまう「恵文社一乗寺店」。スタッフによって1冊1冊ていねいにセレクトされた本や雑貨を楽しむために、世界中から本好きが集まる書店だ。

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「恵文社一乗寺店」は、本の陳列にも特徴がある。作家や出版社ごとに分けられた一般的な棚ではなく、ジャンルごとに並べられているのだ。本は、長く手にとってもらえるロングセラーをメインに、そのときどきのおすすめもセレクト。また、隣り合うジャンルにもつながりが感じられるよう、気持ちよく店内を回遊できる流れも大事にしているそうだ。

店内で出合うことができるのは、本だけではない。ここには、ここには、日々の暮らしを豊かにしてくれる雑貨のセレクト目当ての人も多く訪れる。たとえば『石の辞典』(著:矢作ちはる)と一緒に並ぶのは、美しい鉱石標本や、色とりどりの鉱石のハンカチなど。思わず欲しくなる雑貨を書籍と一緒に眺めているだけでも楽しい。

また、店内各所では常時フェアやイベントが開催され、訪れるたびに違う風景を見せてくれる。「いつ来ても新しい出合いがあるように、訪れる人の日常がささやかでも豊かになれば」。スタッフはそんな願いを込めてセレクトしているのだそう。あふれる本への愛情とアイデアが感じられる書店。京都旅で立ち寄るスポットとしてもおすすめだ。

text: Noriko Oba

47歳で作家デビュー。ベストセラー作家・青山美智子が描きたかった「見えないつながり」
NYの老舗本屋のトートバッグを再現!?ボッテガ・ヴェネタの限定レザーバッグ

お問い合わせ先

文喫 六本木
住所:東京都港区六本木 6-1-20 六本木電気ビル1階
電話:03-6438-9120
営業時間:9:00〜20:00 
入場料:平日¥1,650(税込み)、土日祝¥2,530(税込み)
https://bunkitsu.jp

本と珈琲 梟書茶房
住所:東京都豊島区 西池袋1-12-1 Esola(エソラ)池袋 4階
電話:03-3971-1020
営業時間:10:30~22:00 
https://www.doutor.co.jp/fukuro/

ROUTE BOOKS
住所:東京都台東区東上野4-14-3
電話:03-5830-2666
営業時間:12:00〜19:00 
https://route-books.com/

恵文社一乗寺店
住所:京都府京都市左京区一乗寺払殿町10
電話:075-711-5919 
営業時間:11:00〜19:00
https://www.keibunsha-books.com/

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