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街ごと時計だらけ。業界が熱狂するジュネーブの時計見本市で感じた「主役交代」

スイス・ジュネーブにて、3月30日から4月5日まで時計見本市が開催されました。『Watches & Wonders Geneva』という名のもとでは初となる対面形式のイベント開催に、時計に関わるプレス、リテーラー、ゲストが世界中から一堂に会しました。時計の話題で熱狂に包まれたジュネーブの様子をお伝えします。

スイスのロレックス、パテック フィリップ、フランスのカルティエ、エルメス、そして日本のグランドセイコー……世界的な時計ブランド38社が出展した『Watches & Wonders Geneva 2022』を取材するため、開催前日にジュネーブ入りした私は、この街全体で時計業界を盛り上げようとしている意気込みをまず感じ取りました。市街地では至る所で、時計ブランドの広告が飾られています。

ジュネーブの主要駅(コルナヴァン駅)を出てすぐの所に、カルティエの広告を発見
レマン湖に面する目抜き通りにも時計の広告が連なる
市街地と展示会場を結ぶ専用シャトルバスも『Watches & Wonders』の特別仕様に

いよいよ開催初日の3月30日。展示会場に入り各時計ブランドのブースを一通り見回って気付いたのが、会場中心付近にあるインフォメーションセンターの左側にロレックス、その右側にパテック フィリップのブースが鎮座していたことです。これは、かつて世界最大級の時計・宝飾展であった『バーゼルワールド』と同じ並び方であり、時計展示会の主役がバーゼルからジュネーブに置き換わったことを象徴しているようでした。

会場中心付近の左手にロレックス、右手にパテック フィリップというブースの並びは、かつて世界最大級の時計・宝飾展であった『バーゼルワールド』を彷彿とさせる

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そのパテック フィリップと隣接したところに、グランドセイコーのブースが構えられています。バーゼルに出展していた時代の3年前までは、日本の各時計ブランドはメイン会場の1階ではなく2階に集約されていたことを考えると、ブランドの立ち位置として格段に上がった感じです。海外のプレスやリテーラーもブースに展示されていた時計を関心深く眺めていました。製品の魅力や技術力が国際的な評価を得て、今日では世界的な時計ブランドとしての風格が漂っており、同じ日本人として誇らしい気持ちになります。

パテック フィリップのブースに隣接し、世界的な時計ブランドとしての風格が漂うグランドセイコー

数百人程度を収容できるホールでは、対面形式の講演(Keynote Speech)が行われます。時計ブランドとしてはIWCがトップバッターを務め、その開始前からジャーナリストや関係者たちが集まり、久しぶりの再会に喜ぶ声や、新商品発表に期待する声で満ち溢れていました。

対面形式の講演(Keynote Speech)では、時計ブランドとしてIWCがトップバッターを務めた

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展示会場には食事や打ち合わせが出来るスペースも豊富で、時計の感想について意見交換したり、近況を報告し合ったりと、多くの人で賑わっていました。ちょっとした会話にこそ新たなアイデアの源泉やビジネスの本質が詰まっていることを再認識させられますし、そこがオンライン開催との決定的な違いだと思います。

広い通路には、食事や打ち合わせが出来るテーブルやソファが設置され多くの人で賑わう

今回、コロナによる海外渡航制限に加え、ロシア上空を飛行機が飛べないという事情も重なり、私が確認する限りでは、日本のメディアとしての参加は4社だけでした。来年こそは、より多くの日本人で賑わい共に熱狂できることを願います。

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Profile

島田和春

パリ駐在。ジュネーブはフランス語圏のため、テレビ番組や公共交通機関のアナウンスがフランス語で流れ、パリでの生活と違和感なく過ごすことができた。フランス語の聞き取りが苦手な私としては、ほとんど英語が通じて治安も良さそうなので、むしろ普段より安心感(!?)があるという印象。

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