×

デザイナー・三宅一生さんへ マリ・クレール田居克人編集長から哀悼

デザイナー・三宅一生さん Photography: Brigitte Lacombe

三宅一生さんが8月5日にガンで亡くなったということを知りました。世界のファッション界にとって、とても大きな存在で、またその影響力も強いものがありました。

三宅一生さんの成し遂げた業績は多すぎて、とても簡単には語ることができません。ただ三宅さんのデザインする服は、それまでの服のデザインにとらわれてはいませんでした。デザインという概念が、それまで建築、プロダクト、グラフィックといった領域で語られてきたものに、ファッション・デザインが強い刺激をあたえられるのだということを、その作品によって証明し続けてきたのです。つまり現在のファッション・デザインが文化の領域の一つとしてみなされるようになったのも、三宅一生さんによるところが多いと言えるのではないでしょうか。

また三宅さんの「一枚の布」という服作りの発想も、衣服を身に着け動くという人間の原点に立った考えから生まれたもので、それは日本人だけでなく世界中のどんな民族からも理解されるものでした。

モデル達がただ歩くだけではなく、激しく動きまわり、服と身体を一体化させた躍動感の溢れたコレクションショーは、パリで最も拍手の多いショーだったのです。

Profile

三宅 一生(みやけ・いっせい)

デザイナー。1970 年三宅デザイン事務所設立。「一枚の布」の考え方のもと、産地や企業との協働により一本の糸から研究開発を行い、独自の素材や技術によるものづくりを行う。つねに革新の仕事を追求し、2007 年社内に Reality Lab. を立ち上げ、21 世紀の課題に応えたいと衣服デザインの可能性を探り続けてきた。2016 国立新美術館にて「MIYAKE ISSEY 展 三宅一生の仕事」開催。2010 年文化勲章、2016 年仏レジオンドヌール勲章コマンドール位を受章。

リンクを
コピーしました