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<LIFE WITH MUSIC>第3回 ロンドンへひとり旅(1)

(c)Maika Loubté

【11月14日 marie claire style】去年の秋、思い立って宿も決めずにロンドンへ1週間旅に出ました。荷物は機内に持ち込める小型スーツケースひとつのみ。ここまで衝動的な旅行はめったにしませんが、当時、自分のアルバムが完成したばかりで浮き足立っていて、たまたま現地にいた知り合いが「おいでよ」と言ってくれたことをきっかけに、思い切って飛行機に乗りました。心細さと期待の入り交じった、ひとり旅でした。毎日たくさん歩き、新しい音源を持ってアポなしで名門レーベルに飛び込んでみたり、ホテルで悶々と曲を作ったり、知り合ったばかりの音楽好きな友人にレコードショップを案内してもらったり。台風で帰国が3日も遅れたり、毎秒が鮮烈で、タフで、忘れがたい時間になりました。

 はじめてのロンドンで一番驚いたのは、どのレコードショップに入っても、大きめのスピーカーが高い位置に置いてあり、太く、よい音で音楽が流れていたこと。そのせいか、すべてがよく聴こえて、レコードを衝動買いせずにはいられませんでした。やみつきになって巡った、Sounds of The Universe、Phonica Records、 Rough Trade RecordsやSister Ray Recordsなど。レコード好きがロンドンで買い漁る典型的な図はこれか! などと思いながら、重いレコードを割れないようにすべて手荷物で持ち帰りました。今回はあのとき出会った音楽を、思い出とともに読者のみなさんに紹介します。

■PICK UP !/ロンドンにひとり旅をしたときに出会った音楽
・More Rockers「Better Mus Come」
ロンドン屈指のエレクトロニックミュージック専門店、Phonicaの店頭で流れていた曲。これが聴こえてきた瞬間が忘れられません。2018年の作品ですが、今時めずらしく配信はなし。この一枚は私の宝物です。みなさんに教えたくて、密かに自分のDJでかけ続けています。チャンスがあったらぜひ聴きに来てください。

・Paul Weller 「Paperchase」
ロンドンで、とてもよくしてくださった写真家の方がいました。彼が撮影した名だたるアーティストの中に、PaulWellerがいました。撮影の合間、年季の入った彼の車で私に聴かせてくれた楽曲が、「Paperchase」(アルバム『Sonik Kicks』に収録)。メロディといいシチュエーションといい、とても感動しました。

・Parliamen『t Mothership Connection』(アルバム)
現地でレコードショップを案内してくれた友人と、お互いに中古レコードを贈り合う遊びをしました。そのときもらったのがこのレコード。ブラックミュージックに疎い私に、入門盤として渡してくれました。私はDeee-Lite(90年代のすごくポップなビートのグループ)のレコードをプレゼントしました。音楽の趣味を広げたい人にオススメの遊び方です。

■プロフィール
マイカ・ルブテ(Maika Loubté)
SW、トラックメーカー、DJ。日本人の母とフランス人の父の間に生まれ、10代まで日本・パリ・香港で過ごす。ポップスとエレクトロニクスを融合させたスタイルで、国内外で音楽活動を行う。2019年7月、アルバム『Closer』をリリース。agnès b.、Mercedes-Benz、STÜSSY WOMEN、Gapなどのブランドとのコラボレーションも行う。

■関連情報
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(c)marie claire style/selection, text, photo: Maika Loubté

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