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<Cuisine>ローマの休日味のミルクジェラート

ローマの休日味のミルクジェラート(c)Rika Fukuda

【8月27日 marie claire style】『ローマの休日』のジェラートをイメージして、福田里香さんがレシピを考案。オードリー・ヘップバーン演じるアン王女のように、開放的な気分を。

 オードリー・ヘップバーンは希代の「フード女優」だ。オードリーは映画の食事シーンに鮮烈な印象を残すことで、世界的大スターになった。『ローマの休日』(1953)では長い髪をショートにした直後に、屋台からスペイン広場の大階段まで、ジェラートを歩き食いする。『ティファニーで朝食を』(1961)ではNYの早朝、開店前の高級宝飾店ティファニーのショーウィンドーを覗き込みながら、デニッシュらしき菓子パンを歩き食いし、紙コップのコーヒーで流し込んだ。

 ジェラートとデニッシュ。なんと自身のキャリアの2大代表作で甘い物を歩き食いして、世界中を虜にするなんて前代未聞だ。めちゃくちゃマナーが悪いのに汚く見えず、チャーミングに魅せる、その「フード演技」に脱帽。

 ジェラートをなめることでアン王女の感じた開放感を、デニッシュを頰張ることでホリーの孤独と野心を”無粋な説明台詞なしに”表現しているからこそ、行儀の悪い行為が魅力的に映るというギャップ萌えが生じるのだ。だから60年以上にわたって心に残る名シーンになったし、観客はこぞって、この歩き食い行為を真似したくなる。

 アン王女が食べたジェラートはなんだろう?モノクロ映画なので判然としない。たぶん白いからミルク味だと思われるが、Fragola(いちご)とのマーブルに見えるシーンもある。マーブル派のひとは、材料にいちごジャムを混ぜてみて。

■How to Cook

1.小鍋にさやからしごき出したバニラビーンズとさや、粗糖、牛乳120mLを入れ、弱火にかける。木ベラで混ぜ、粗糖が溶けたら火からおろす。(耐熱容器に入れ、600Wの電子レンジで50秒ほど加熱し、混ぜて溶かしてもいい)

2.ジッパー付きの袋に〈1〉と牛乳200mL、生クリームを注ぎ、空気を抜いてぴったり密封する。トレーやバットにのせ、冷凍庫に半日入れて固める。

3.袋から食べる分だけ取り出し、ボウルに入れ、テーブルスプーンでつぶすようにしっかり混ぜてなめらかにする。テーブルナイフをヘラのように使い、コーンになすりつけるように盛る。

■ 材料
・牛乳・・・120mL+200mL
・粗糖・・・70g(グラニュー糖、きび糖などでも可)
・生クリーム(乳脂肪45%)・・・120mL
・バニラビーンズ・・・3cm(またはバニラエッセンス 5滴)
・市販のアイスクリームコーン…適宜

■プロフィール
福田里香(Rika Fukuda)
菓子研究家。マンガをイメージしたお菓子のレシピとエッセイを収めた『まんがキッチン』、マンガやアニメ、映画などの食のシーンについて綴ったエッセイ『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』など、著書多数。近著に『民芸お菓子』『R先生のおやつ』『新しいサラダ』『いちじく好きのためのレシピ』がある。

■関連情報
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(c)marie claire style/text, recipe, photo: Rika Fukuda

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