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ダイアナ元妃インタビューを巡り、BBCが王子たちのナニーにも賠償金を支払いへ

©️BBC / PA Images / Aflo ©️Julian Parker / Getty Images

1995年、世界中が注目したBBCによる衝撃的なインタビューで、チャールズ皇太子との確執やカミラ・パーカー・ボウルズの存在など、包み隠さず告白したダイアナ元妃。その独占単独インタビューを成功させるために元BBC記者が行った偽装工作のすべてがここに来て、明らかに。その「欺瞞に満ちた取材交渉」に巻き込まれてしまったのが、ウィリアム王子とヘンリー王子が慕うナニー(乳母)だった。

詐欺まがいの方法で取材を敢行

1995年、英国で約2300万人(人口の39.3%)が視聴したという、英BBCが放映した番組「パノラマ」でのダイアナ元妃のインタビュー。その中でダイアナ元妃は、産後のうつ病から、チャールス皇太子との別れまでさまざまなことを率直に語った。

BBCの番組でマーティン・バシールからインタビューを受けるダイアナ元妃。©️BBC / PA Images / Aflo

この単独インタビューを実現するために、画策したのが元BBCの記者でジャーナリストのマーティン・バシール。バシール記者は、取材交渉をするべく元妃の弟であるスペンサー伯爵に接近する。そして、交渉を有利に進めるために偽の銀行証明書を用意し、それを使って王室の関係者が金銭を見返りにダイアナ元妃の情報を外部に流していると匂わせて、彼女の信頼を得ようとした。このダイアナ元妃を欺いたバシール記者の取材方法について、1996年に行われた内部調査で不正はなかったとしたBBCだが、スペンサー伯爵は納得せず、元最高裁判判事、ジョン・ダイソンに再調査を依頼する。そして昨年の5月、BBCは遂にバシール記者が虚偽の情報をダイアナ元妃に信じ込ませ、独占取材を行ったことを認めて、賠償金150万ポンド(約2億3000万円)をダイアナ元妃に支払うことが決定。この賠償金は、英国王室が決めた慈善団体に寄付されることになった。

二人の王子にとって大切な人も名誉を傷つけられる

そして、バシール記者の虚偽の発言で著しく名誉を傷つけられた女性がもう一人いた。それは、ウィリアム王子とヘンリー王子のナニー(乳母)を勤めていたティギー・レッグ=バークだ。バシール記者は、チャールズ皇太子が王子のナニーであるティギーとも不倫をしているのではないか、というダイアナ元妃の不安に付け込み、ティギーが中絶手術を受けたように見せかける「領収書」を作成。その衝撃的な内容の「領収書」もダイアナ元妃に見せ、彼女への取材を取り付ける材料に。

チャールズ皇太子、ヘンリー王子に同行するナニーのティギー・レッグ=バーク(左後方) ©️Julian Parker / Getty Images

現在、英『People』誌によるとバシール記者がこの詐欺行為について起訴されることはないものの、BBCはティギーに10万ポンド(約1,500万円)を超える損害賠償金を払うことを申し出たと報じている。今でも2人の王子と親交があるティギーは、ヘンリー王子とメーガン妃の結婚式にも参列し、彼らの息子、アーチーの名付け親の一人とも言われている。

この件に関して、英国王室からの正式なコメントは発表されてない。しかし、ウィリアム王子は昨年11月に正式な再調査が開始された際、英『People』誌の取材に「BBCの組織から独立した調査は正しい解決への一歩だと考えます。パノラマでのインタビューに至ったプロセスと、当時のBBC関係者のその後の決断の裏にある真実が明らかになる助けになるはずです」と語っている。

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  • This article was published on marieclaire.co.uk


    text: Kate Mccusker


    translation: Tomoko Kawakami

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