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入念なリサーチで役作りに挑む『ナポレオン』に出演のヴァネッサ・カービー

ドラマ「ザ・クラウン」のマーガレット王女役や映画『ミッション:インポッシブル』のホワイト・ウィドウ役で知られるヴァネッサ・カービー。2021年には、『私というパズル』でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートを果たした。快進撃を続けるなか、巨匠リドリー・スコット監督とホアキン・フェニックスがタッグを組んだ話題作『ナポレオン』では皇后ジョゼフィーヌ役に抜擢。“いま最も勢いがある女優の一人”とも称される彼女が、本作に込めた思いを語る。

ヴァネッサ・カービー
「カルティエ」を代表するコレクション「パンテール ドゥ カルティエ」のアンバサダーとしても活躍しているヴァネッサ・カービーは、最新キャンペーンに登場。
photo: Julien Vallon © Cartier
model: Vanessa Kirby
necklace¥15,576,000 bracelet¥6,996,000 ring¥6,468,000(Cartier)

一度見たら忘れることのできない鋭い眼差しと圧倒的なオーラで、誰もが虜になってしまう女優ヴァネッサ・カービー。『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』や『ミッション:インポッシブル』シリーズで一躍世界的な人気を獲得し、いまや母国イギリスのみならず、ハリウッドの次世代を担う存在としても注目を集めている。そんななか、間違いなく彼女の代表作の一つとなるであろう最新作『ナポレオン』。本作では、ホアキン・フェニックス演じるフランスの皇帝ナポレオンを翻弄する最愛の妻ジョゼフィーヌを演じている。今回は、Netflixドラマ「ザ・クラウン」のファンであるリドリー・スコット監督からのオファーだったという。

「脚本をもらった晩にすぐ読んで、すごく気に入ったわ。でも、驚いたのは自分がこんなにもフランス史について何も知らなかったこと。準備期間が1ヵ月しかなくてとにかく大変だったけれど、2人のことが書かれている読める限りの本を閉じこもって読むことにしたの。ただ、ナポレオンに関する本は何千冊もあるのに、ジョゼフィーヌに関する本は60冊程度。そのことも私にとっては印象的だったわね。なぜなら、私はあまり知られていないような、素晴らしい人生を送った女性を取り上げることが大好きだから。実際、彼女の人生はどの年も驚くべきものであり、それらを学ぶのは楽しかったわ」

ヴァネッサ・カービー ナポレオン

ヴァネッサは役作りを追求するため、晩年のジョゼフィーヌが暮らしたパリ郊外のマルメゾンや市内の小さな教会の裏にある彼女のお墓を訪問。ナポレオン博物館やマルメゾンで歴史と時代に没頭することで、この役を演じることへの情熱を高めていったという。その結果、ヴァネッサはジョゼフィーヌのつかみどころのない魅力と気迫を完璧に体現してみせた。しかし、一方でさまざまな葛藤も抱えていたと明かす。

「リサーチでは、本や文書、第三者からの証言、そしてナポレオンの手紙などあらゆるものを読んだけれど、どのジョゼフィーヌもまったく違うのよ。『よし、これが彼女だ!』と自分の考えが固まるたびに、何かがそれを完全に打ち消してしまう。彼女はまさに“矛盾の塊”よ。だから、この役を演じることは、つらくて不安なことでもあったわ。でも、私は彼女に対して深い悲しみを覚えてもいたの。強烈なエネルギーを持っていたにもかかわらず彼女は声を上げることを許されず、居場所のない貴族社会で『自分は無価値だ』と心の奥底で感じていたはずだから。これは多くの女性たちの物語であるとも言えるのよ」

現代の女性にも通じるところがあるジョゼフィーヌだが、結婚、離婚、数々の恋愛、投獄など知られざる波乱万丈な過去を持つ。しかもナポレオンより6歳年上で2人の子どもがいる未亡人ということもあり、結婚には反対の声も上がったが、それでもナポレオンはジョゼフィーヌに執着。その理由について、ヴァネッサはこう分析する。

ヴァネッサ・カービー ナポレオン
映画『ナポレオン』で妻ジョゼフィーヌを熱演したヴァネッサ・カービー

「私は2人には共通点があると思ったわ。彼らは共感を覚えるだけでなく、相手から認められていると感じ、“はみ出し者同士”であることを理解し合っていたの。それと、彼女の浮気が世間に知られて恥をかかされても、喧嘩が絶えなくても、ナポレオンが別れなかったのは彼女の“神秘主義”のお蔭もあったんじゃないかしら」

スコット監督とは、セクシュアリティと官能性の違いについてもかなり話し合ったというが、“魔性の女”ジョゼフィーヌは一体どのようにして生まれたのか。

「彼女の天性の官能は、マルティニーク島という熱帯地域で育ったことから来ている気がするわ。暖かさや音楽、文化、環境によるものであって、きっと彼女の幼少期は知性よりも感覚が重視されていたのよ」

ヴァネッサ・カービー ナポレオン

いびつな関係を続けていたもののジョゼフィーヌの存在なしに“英雄ナポレオン”が誕生することはなかったかもしれない。そんな彼らの愛憎渦巻く激しいぶつかり合いを再現できたのも、強い信頼関係で結ばれたホアキンとヴァネッサだったからこそ。8000人を超えるエキストラを動員した壮大なスケールで描かれる戦闘シーンも見どころだが、2人が繰り広げる演技合戦にも目が釘付けになる。

現在、「カルティエ」を代表するコレクション「パンテール ドゥ カルティエ」のアンバサダーとしても活躍しているヴァネッサ。「エレガンス、艶やかさ、強い個性」という「パンテール」を象徴する要素は、彼女のための言葉であるようにも感じさせる。女優で慈善家でもあるヴァネッサは、これからも幅広いかつ自由に進み続ける自由に進み続けるに違いない。

ヴァネッサ・カービー ナポレオン
天才的な軍事戦略で皇帝にまで上り詰めたフランスの英雄ナポレオン。最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に、何十万人の命を奪う幾多の戦争を仕掛けていく。英雄と呼ばれる一方で悪魔と恐れられた男、ナポレオンの真の姿を壮大なスケールで描く超大作。

『ナポレオン』(原題: Napoleon)
監督: リドリー・スコット
出演: ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー
公開: 12月1日(金)全国の映画館で公開
オフィシャルサイト: www.napoleon-movie.jp
配給: ソニー・ピクチャーズ

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