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「市川團十郎さんには3Dを感じる!」と語る村上隆が襲名を寿ぎ描いた「祝幕」が完成

歴史に残るような作品に仕上がった


三池監督の構想を受けて村上氏が描き、アート作品として誕生した「祝幕」は高さ7.1メートル、幅31.8メートルという文字通り巨大な絵画。そこには、團十郎家の「家の芸」である歌舞伎十八番のすべての演目がデザインされている。

村上隆 2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番
2020年 アクリル絵の具、キャンヴァス、アルミフレーム 480×102.8 cm
©︎2020 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.


今回の制作の依頼を受けて初めて團十郎(当時は海老蔵)に会うことになり「会うたびに芸術家としての資質とそのオーラのすごさに感動した」という村上氏。「僕は團十郎さんと会うといつも3Dを感じるんです。映画『マトリックス』のように空間がビヨーンとゆがむような印象。そのような方にご縁をいただいて、歴史に残るような作品を作らなくてはならないと思った。そして自信を持てる作品に仕上がった」と制作にあたって抱いた思いを語った。

アーティストの村上隆氏

さらに絵の見どころについて聞かれると、「このような大きい絵は建築物と同じで内部骨格が大切。一番上のほうにまっすぐの矢があったり、まっすぐの木材を配したりしているのは、目線を誘導して絵の全体に目が行き届くよう内部骨格を作っているから。描かれている人物の目の色をすべて違う色にしているのも、1個1個の顔に視線を誘導するようなしかけ。日本の方が見ても西洋の方が見ても、高度な技術力がある作品だとわかるようになっている」と解説。それを聞いた團十郎は「歌舞伎でも荒事というと荒ぶる芝居という印象だが、きちんと決まっていることがじつはある」と納得の面持ちで答えていた。

「十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念 歌舞伎座特別公演」を終えたばかりで会見に臨む市川團十郎

「十一月吉例顔見世大歌舞伎」では、昼の部で『勧進帳』の武蔵坊弁慶、夜の部で『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』の花川戸助六を演じる團十郎。そして、名だたる役者たちも勢ぞろいし、襲名公演を盛り上げる。

祝祭感あふれる「祝幕」が伝統芸能の殿堂を華やかに彩るのは、襲名のこの時だけ。ぜひ、歌舞伎座に足を運んでみてはいかがだろう。

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