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『鎌倉殿の13人』源実朝役の柿澤勇人。劇団四季の名作がサッカー少年の運命を変えた

『鎌倉殿の13人』で源実朝を演じる柿澤勇人(かきざわ はやと)©NHK

放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』もいよいよクライマックスを迎えようとしている。 以前、今回の大河ではミュージカルの舞台で活躍している俳優たちが多く起用されていることを紹介したが、終盤にきてまたひとり、注目を浴びているミュージカル俳優がいる。3代将軍・源実朝を演じる柿澤勇人だ。

ピュアで、複雑な内面を持つ若き将軍

地方豪族の次男坊として生まれ、その身の丈で生涯を全うすることに疑いすら抱いていなかった青年・北条義時(小栗旬)が、源頼朝(大泉洋)と出会い、政治のすべてを学び、徐々に権力闘争の鬼となっていく物語も終盤。実父の時政(坂東彌十郎)を追放して第2代執権の座に就いてからの義時は、ますます強権を振るい、ダークヒーローとなっていく。

小栗旬 鎌倉殿の13人 北条義時
もともとは蔵にこもって領地内の作物の収穫を計算・記録して過ごす時間が好きな地味青年だった北条義時。姉・政子(小池栄子)が源頼朝と結婚したのを機に権力争いへと巻き込まれ、やがて鎌倉幕府の中枢へと上り詰めていく。ドラマが進むにつれ、義時が変化していく様子も大きな話題に ©NHK

そんな義時に抑えられ、ピュアなゆえに鎌倉殿としての生き方に思い悩む3代鎌倉殿・源実朝を演じるのが、柿澤勇人である。

実朝が征夷大将軍の座に就いたのは、わずか12歳のとき。政(まつりごと)を行う力がないのは当然で、実権は北条家に握られていた。

容赦なく非情な采配を振るった父頼朝や、父に追いつこうと焦るあまり独断的になった兄頼家(金子大地)とは違い、実朝は心優しく自らの意志を打ち出すことができなかったが、御家人同士による権力闘争の末、もっとも信頼していた人物を喪ったことをきっかけに変わり、それが結果的に彼を悲劇へ導いていく。

武家の棟梁としてどうあるべきか模索し、パーソナルな悩みを胸に秘め、後世に残る優れた和歌を数多く詠むほど風雅な感受性の持ち主──そんな複雑な内面を持つ実朝が成長するさまを、柿澤は丁寧に演じ、3代目鎌倉殿の人物像に膨らみを与えている。

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