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北川景子が”元勤務先”マリ・クレールに語った、映画『大河への道』の「女神のような演技」

実はコメディー好き 振り切った演技に大満足

ただし、江戸時代で演じる、伊能の最後の妻のエイという女性には、これといった情報がほとんどなかった。プロデューサーからは、「あまり史実を調べようとせず、フェアリーな(妖精のような)、女神のような感じでお願いします」と言われたという。「エイという女性がどういうふうに生きてきたのか、子どもはいるのか、などバックグラウンド(背景)が全く分かりません。脚本では、機転が利いて、知恵がまわる女性として描かれています。その場の自分の感覚で、伊能の弟子たちを温かく見守るようなイメージで演じました」

北川景子 大河への道

劇中、伊能の死をあくまでも隠し通す弟子たちに対して、幕府から伊能が本当に生きているのか探るよう命じられた男を西村まさ彦が演じている。この男の目をそらそうと、エイは祈祷師の姿になって、見当違いの場所を祈祷で伝える。この祈祷師ぶりが、おかしくてたまらない。「私は、クールだと見られることもあるのですが、本当はコメディーを演じるのも大好き。今回は、祈祷師になる場面だけは、振り切って勢いよくやりました。とても楽しかった」とはじけた笑顔を見せた。

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着物姿で背筋伸びる 時代劇へのあふれる愛

近年、時代劇が少なくなっていることが残念だという。「私は王道の時代劇が大好きなんです。時代劇は、ずっと着物姿ですので、肉体的には大変ですが、背筋が伸びて、引き締まる感じ。時代劇をよく知ったスタッフと一緒に撮影できることが本当に幸せです。でも、そんなスタッフがだんだん少なくなってきています。今回は過去の部分は、しっかりとした時代劇ですが、現代劇と組み合わせていて、笑いの要素もたっぷり。時代劇に関心がない人でも楽しく見ていただけるようになっています。この映画を見て、時代劇の面白さに気づくきっかけになってくれたら、と思います」

北川景子 大河への道

伊能忠敬については、地図を作った人だとは知っていたが、詳しくは知らなかったという。「私は、小さいころから歴史や地理が苦手で、テスト勉強のために仕方なく一生懸命覚えていました。伊能忠敬は、歴史の教科書の中で、1行で説明されている人という印象でした。でも、今回この作品に出会うことができて、1行では済まされない、豊かな物語がある、ということを初めて知りました」と熱を込める。「50歳を過ぎてから、日本国中を実際に歩いて測量したということに驚きましたし、それを支えた、多くの名も無い人たちがいたことも分かって感動しました。きっとカリスマ性がある人だったのではないでしょうか。小さいころにこんなことを分かっていたら、歴史や地理にもっと興味を持てたかもしれません」

江戸時代では楽隠居している年齢から、新たに勉強を始め、それまでの人生と全く違うことに挑んだ、伊能忠敬の意思の強さに感動した。「何か新しいことをやりたくても、『今から始めても仕方ない』『やっても無理だ』と思う方もいるでしょうが、この映画を見ると、楽しく笑いながら、そんなことはない、ときっと気づかせてくれます」とにこやかに語った。

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北川景子 大河への道

きたがわ・けいこ 1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。2003年に女優デビュー。テレビドラマ「家売るオンナ」(日本テレビ系)、映画「ファーストラヴ」など主演作多数。

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北川さんのスタイリスト◎宇都宮 いく子、ヘアメイク◎山口久勝(アルール)

衣装◎ドレス Patou(パトゥ) (IZA)¥165,000-(税込)
お問い合わせ先 IZA
107-0062 東京都港区南青山5-12-2 vendome yamada east bldg.5F
 TEL 0120-135-015


北川さんのインタビューの撮影は繁田統央

関連情報
  • 映画『大河への道』ストーリー


    千葉県香取市役所で大河ドラマ誘致プロジェクトが立ち上がる。主人公は郷土の偉人・伊能忠敬。総務課主任の池本(中井貴一)、総務課員の木下(松山ケンイチ)にプロジェクトが任される。池本らはベテラン脚本家の加藤(橋爪功)にプロット作りを依頼する。一方で江戸時代、伊能忠敬が地図完成を見ないまま亡くなる。その志を継いで地図を完成させるため、弟子たちによる隠密作戦が動き出した。

Profile

福永聖二

編集委員、調査研究本部主任研究員などとして読売新聞で20年以上映画担当記者を務め、古今東西9000本以上の映画を見てきた。ジョージ・ルーカス監督、スティーブン・スピルバーグ監督、山田洋次監督、トム・クルーズ、メリル・ストリープ、吉永小百合ら国内外の映画監督、俳優とのインタビュー多数。

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