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日本橋、丸の内、銀座、渋谷、原宿──5つのエリアで開催される「東京クリエイティブサロン」とは

この3月、ファッション・アートイベント「東京クリエイティブサロン」(TCS)が開催される。コロナ禍で、ファッションや文化などの活動は、時に「不要不急」と言われた。しかしクリエイティブの力は、人間の営みの中で必要不可欠なもの。TCSは、「RE: CREATION――東京創作の再定義」をコンセプトに、新たな生活様式におけるクリエイティブな試みを提案する。目指すのは、家具やデザインの世界的な祭典「ミラノサローネ」のような都市を挙げたイベント。日本橋、丸の内、銀座、渋谷、原宿の5エリアで、地域や企業、街に関わる人たちが多様なプログラムを計画中だ。各エリアで、「A_BOX」という共通の展示も展開。 街の中に設置した巨大な“箱”で、その街の特色を表現する。それぞれのエリアが掲げるコンセプトやユニークな企画とは?

この春、TOKYOの街が動き出す

日本橋
【RE: VIEW】伝統の街を再考察し、再定義していく

日本橋は伝統文化が息づく街。一方で、商店やギャラリーから新しい動きも生まれている。TCSでは、「RE: VIEW」をコンセプトに日本橋を再考察する。

日本橋を描いた「熈代勝覧(きだいしょうらん)」という絵巻物がある。名もなき作家が制作した12メートルにおよぶ大作で、文化2(1805)年の日本橋の繁栄がいまに残されている。

そんな日本橋で、今回、画家や写真家など10人のアーティストが、新しい「熈き(かがやき)」を再考察し、それぞれの視点で新しい景色を描く。展示場所は、街の中の仮囲いや地下歩道、ホテル、カフェなどさまざまだ。

「A_BOX」は「COREDO室町テラス」の大屋根広場に設置し、「ファッション=素材」展を開催する。日本橋は古くから呉服街、繊維街として栄えた街。時代とともにアップデートされてきた「素材」に注目する。中心となるのは、植物由来の素材にこだわる「KAPOK KNOT」。日本橋にショールームを構えるアパレルブランドだ。地元のブランドが協力し、店舗での「素材体験ツアー」も予定している。


丸の内
【RE: DESIGN】進化し続ける街に人々が集う

日本有数のビジネス街、丸の内。商業ビル、路面店、美術館も並び、スポーツ・音楽・アートイベントなど、年間を通じてさまざまな文化を発信する。今年は丸ビルが開業20周年、新丸ビルが開業15周年のアニバーサリーイヤーだ。そこでTCSでは、「Passion Anniversary!!!」をコンセプトに“祝祭感”を持って街全体を盛り上げる。

エリアアンバサダーに小山薫堂氏を迎え、オープニングセレモニーではベビー子ども関連ブランドの「familiar」と「ANREALAGE」のデザイナー・森永邦彦氏がコラボレーション。子どもたちがワークショップで描いたイラストから、森永氏がインスピレーションを受けたルックを発表する。会期中、TOKYO TORCH Parkに設置する「A_BOX」で展示される。「A_BOX」のコンセプトは「RE: DESIGN」だ。さらに、丸の内仲通りで開催する「Future Designers Collection」では、全国の服飾専門学校から選ばれた学生がショー形式で作品を披露し、丸ビル内でも学生による作品展示を行う。進化し続ける街を、幅広い世代が活気づけていく。


銀座
【RE: LOOK】思わず見て回りたくなる場所に

銀座は、伝統と革新の街。歴史ある小さな商店や新しい大型商業施設、ラグジュアリーブランドの路面店が共存する。長年、街を愛する人たちが支え合い、文化を醸成してきた。

TCSにおいても、訪れた人が街を回りたくなるような企画を準備中だ。「RE: LOOK」をコンセプトに、銀座の街を思わず「もう一度見てしまう」存在にしたいと考えている。

そこで、「モボモガ」に代表される銀座のファッションの歴史に注目。期間中、最初の土曜日の3月19日には「スカーフ」をドレスコードに、春の銀座を歩いてもらう。スカーフ着用の方にさまざまなお店が特別なサービスを提供、プロのカメラマンによる写真撮影が行われたり、松屋銀座前ではヘアメイクショーが開催されたりするなど、この期間ならではのお祭り気分を楽しめる。

「A_BOX」は「RE: LOOK」を象徴する存在として、鏡を使ったインスタレーションに。「RL銀座」に設置する。日本最年少でカンヌライオンズを受賞した2人組の若手広告クリエイター・LQVEが担当し、新たな銀座を映し出す。さらに「A_BOX」と統一したトーンで、6つの商業施設のショーウィンドウなどにビジュアルを展開する。


渋谷
【RE: RELATION】ヒト、モノ、コトとの関係を再発見

多様性の街、渋谷。多くのクリエイターが集い、カルチャーを牽引する場所でもある。

TCSが開催される3月、「渋谷ファッションウイーク」が街を賑わせる。注目はランウェイショー。昨年は「KANSAI YAMAMOTO」が参加し、スクランブル交差点でのランウェイショーをオンライン配信。今年のショーにも期待が高まる。さらに、分散回遊型のイベント「FASHIONART」が街を彩る。商業施設や路面店、街角など、約20カ所でアート作品が展示される予定だ。

北谷公園に設置される「A_BOX」は、渋谷と原宿が共同で展開。谷尻誠氏、吉田愛氏が率いる建築チームSUPPOSE DESIGN OFFICEが手がける。捨てられるはずの洋服やハギレで作った「アップサイクルボード」を利用し、サステナブルを意識したインスタレーションに。

コンセプトは「RE: RELATION」。さまざまな「関係」が変化したコロナ禍において、街と自分、ファッションと自分、そして人と人との関わりを再発見することを目指す。

photo: 佐山慶太 /Aflo

原宿
【RE: MIND】ファッションへの熱量を喚起する

原宿は世界の中でもとりわけ多彩なファッションを楽しめる街。モード、アメカジ、ストリート、ギャル、ゴスロリなど、さまざまなファッションが一つの街に内包され、さらにそれらがミックスされることで新しい個性が生まれてきた。

一方で昨今、時代の変化に伴い、「ここでしか買えない」という商品は減りつつある。原宿が今回のTCSで掲げるコンセプトは「RE: MIND」。ファッションへの熱量を思い出すこと、そしてコロナ禍のいま、精神や価値観を見つめ直すこと。2つの意味を込めている。

TCSの期間中に「SHIBUYA HARAJUKU FASHION FESTIVAL(シブハラフェス)」が催される。渋谷・原宿エリアで、ブランドや新進気鋭のデザイナーによるショーを開催。さらに受注会を開き、直接オーダーすることが可能だ。デザイナーと来訪者の交流が生まれる。

ブランドやデザイナー、渋谷区内のショップ、専門学校生の作品などを集めたファミリーセールも。規格外の商品やサンプル品を、スタイリストによるコーディネート提案などでアップサイクルする。

※新型コロナウイルス感染症に関わる事情により、掲載内容に変更が生じる場合がございます。

東京クリエイティブサロン
3.15~31(コア期間3.18~27 ※コア期間とは都内各所で実施されるイベントの重点期間)
開催地
日本橋 Nihonbashi
丸の内 Marunouchi
銀座 Ginza
渋谷 Shibuya
原宿 Harajuku


公式HP:https://tokyo-creativesalon.com/

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