×

【パリ駐在員レポート】歩いて回れる、見どころ豊富なモンマルトルの丘

パリ中心部の北側に位置するモンマルトル地区でブドウ収穫祭が2年ぶりに開催され、その界隈が多くの人で溢れかえっていました。10月のとある週末、秋晴れに誘われてモンマルトルの丘を散策してきた様子をレポートします。

白亜のサクレ・クール寺院がそびえるモンマルトルの丘にはブドウ畑があり、その畑から収穫されたブドウでパリ産ワインが限定生産されているのはご存じでしょうか?(私は知りませんでした)

パリ市が管理するモンマルトルのブドウ畑

実は、毎年10月にその年のブドウ収穫を祝ってモンマルトル地区で盛大なお祭りが行われています。昨年はコロナの影響でオンライン開催だったので、2年ぶりのリアル開催となった今年は会場周辺を人が埋め尽くし大賑わいとなりました。

サクレ・クール寺院の目の前の階段からは、パリの街を一望できる。

このお祭りは、どうやら希少なパリ産ワインを堪能することがメインではないようです。フランス各地から様々な生産者がブース出展し、赤ワイン、白ワイン、シャンパン、それに合う肉、魚、牡蠣などが提供されていました。その場で飲食できるので、周りの人たちは、ほぼ皆マスクを外して会話を楽しんでいます。 …しかし、日本人の感覚として、その状態は「密」を超越した「過密」となっており、さすがにマスクを外すことはできませんでした。

通る隙間がないほどに溢れる人・人・人

ところで、このモンマルトル地区ですが、比較的狭い範囲内に見どころがぎゅっと詰まっているので、散策しているだけでも楽しめます。

パリの地下鉄Abbesses(アベス)駅を降りて、まず目に留まるのが「ジュテームの壁」です。旅行ガイドにもよく取り上げられている観光名所で、世界各国の「愛の言葉」が壁一面に埋め尽くされています。もちろん日本語もありますが、よく見てみると少し違和感があります。

壁を注意深く見ると「愛しいます」「君が好だ」と書かれている部分を発見。惜しい。

そこから西の方に向かって5~10分ほど散策すると映画『アメリ』で主人公が働いていたカフェ「Café des Deux Moulins(カフェ・デ・ドゥ・ムーラン)」を見つけることができます。ここも観光名所で団体ツアー客が立ち止まって記念撮影をしていました。

映画『アメリ』の世界観と名物のクレーム・ブリュレが味わえるカフェ

次に、カフェから丘に向かってしばらく坂道を上っていくと、とても趣のある風車「Moulin de la Galette(ムーラン・ド・ラ・ギャレット)」に行き当たります。かつて社交場であったここを題材にして、ルノワールは舞踏会の様子を、ゴッホはその外観を描いていることで有名です。

現在はレストランとして営業している「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」

この風車の近くには、壁から体半分だけが出ている「壁抜け男」や、有名なシャンソン歌手「ダリダの胸像」、ピンクの外観が可愛らしい「La Maison Rose(ラ・メゾン・ローズ)」など思わず写真を撮りたくようなオブジェや建物が点在して、アートな雰囲気を醸してます。

「壁抜け男」は、微笑んでいるようにも見えつつ、少し哀愁も漂う。
落ち着いたピンク色の外観がアートな街の雰囲気に馴染んでいる。

サクレ・クール寺院の手前には、画家たちが集うテルトル広場があります。広場の至るところで似顔絵が描かれており、絵画も販売されています。モンマルトルの麓の駅から丘の上までモノレールで簡単に行くこともできますが、30分くらい掛けてゆっくり坂道を上ると、色々な発見があっておすすめです。ちなみに、麓周辺は道を外れると危険なエリアに出くわすこともありますので、くれぐれもお気を付けください。

テルトル広場では多くの画家が観光客の似顔絵を描いている。こちらも大盛況。

Profile

島田和春

読売新聞東京本社広告局パリ駐在事務所


食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋……。今のところ、パリ生活で一番の関心事は、食欲の秋。最近、いつもより食べる量が多くなりがち。

リンクを
コピーしました