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映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』で天才デザイナーの謎に迫る。監督コメントも到着。

初めて自身で作った服。「既にマルジェラっぽい」とは本人の談。

謎多きデザイナー、マルタン・マルジェラの真の姿に迫ったドキュメンタリー映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』が9月17日に公開される。

ついに破られた沈黙

初めて東京に来た際に地下足袋から着想を得て生まれた、マルジェラのアイコンともいえる足袋シューズ。

ファッション通ならずとも、その名前を知る人は多いはず。公の場には一切姿を見せず、極めてミステリアスで謎に包まれたデザイナー、マルタン・マルジェラ。常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けた彼の突然の引退から10年以上がたった今、マルジェラがついに沈黙を破る。

ドキュメンタリー映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』は、彼のキャリアやクリエイティビティについて、マルジェラ本人の口から語られるという貴重な作品だ。

監督はドキュメンタリー界のベテラン

本作の監督を務めたライナー・ホルツェマーは、世界中の決定的な瞬間を記録し続けてきた写真家集団を追った『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』(1999年)や、ファションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンに密着した『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』(2016年)など、ドキュメンタリー界をけん引してきた人物。

四隅の白いステッチがマルジェラの目印

ドリスに続きファッションの世界について2作目を撮ると決めたとき、監督がアントワープの展示会でマルタン・マルジェラの作品を目にしたことが、今作誕生のきっかけだった。「モデルの顔をベールで覆うというアイデアが気に入ったんだ。シュールな反面、自然にデザインやコレクションの服に目線を向けさせる彼のやり方なんだと思った。あのアプローチのすべてがすごく気に入ったんだよ」

マルジェラのアトリエ

マルジェラの信頼を得るのは簡単なことではなかったが、その難関を突き破り、“このドキュメンタリーのためだけ”という条件のもとに承諾を取り付けることに成功。「長いプロセスが必要だね。相手に対して、極めて誠実であることだ。自分がやりたいことを相手に話し、自分のことを信頼できるように説得する。これがすごく重要なことだ。」と語る通り、監督は常にカメラを抱え、主人公がカメラの存在を気にしなくなるほどまでに長い時間をともに過ごすのだという。

明らかになるマルジェラのプライベート

本作で印象的なのは、ドローイングやメモなど膨大な資料の数々、幼少期に作ったというバービー人形の服、ユニークなセンスの持ち主だったという祖母とのエピソードなどマルジェラのプライベートな側面。そして、ショーに出演したモデルたちやビジネス・パートナー等によって語られる、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、初のファッションショー、世界に衝撃を与えたエルメスのデザイナーへの抜擢、そしてファッション界を去るまでーー。マルジェラの想像性と仕事術の全てがこの映画によって明かされる。

デビューショーのランウェイ。

監督は、「この映画は単なるサクセス・ストーリーではない。何よりも私にとっては、自らの道を歩み続け、そのポリシーから“不滅の存在”へとなった男のストーリーである。」と本作を振り返る。

9月17日(金)より、渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国で上映開始。ファッション界を去った今もなお、多くのファンを魅了し続けるマルタン・マルジェラの真の姿をぜひ劇場で目撃して欲しい。

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