×

石内都さんが、女性写真家に光を当てる「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを受賞

写真家の石内都(いしうち みやこ)さんが、「ケリング」と「アルル国際写真フェスティバル」が共催する、2024年「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを受賞した。フランスのアルルで開催される同フェスティバルでは、石内さんの個展に加え、日本人女性写真家のグループ展や、日本の京都を舞台に展開している国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」による展覧会もケリングの支援により同時開催。会期は、2024年7月1日(月)から9月29日(日)まで。

写真やアート、デザイン、音楽、ダンスなどの分野で活躍する女性の才能を表彰するプログラム「ウーマン・イン・モーション」は、「グッチ」や「ボッテガ・ヴェネタ」などを擁するグローバル・ラグジュアリー・グループ「ケリング」によって、2015年に発足。

2019年に世界最古の写真フェスティバルとして知られる「アルル国際写真フェスティバル」とパートナーシップを結び、同フェスティバルのコンテンツに「ウーマン・イン・モーション」プログラムを加えると同時に、女性写真家に光を当てることを目的とした「ウーマン・イン・モーション」フォトグラフィー・アワードを開始した。

同アワードを受賞した石内都さんは、群馬県桐生市生まれ、神奈川県横須賀市育ち。1979年に「Apartment」で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年、母親の遺品を撮影した「Mother’s」で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出された。2007年より現在まで続けている、被爆者の遺品を撮影した「ひろしま」も国際的に評価されている。2013年に紫綬褒章受章。2014年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞している。

石内さんの作品には、“女性”というテーマが繊細かつ力強く浸透しており、女性の身体を芸術の主題として取り戻すことで、女性の客観化を批評。彼女の写真は、主流メディアが示す美の基準に対して、不完全さや傷跡、加齢といったものをたたえている。また、そのような親密さを提示することで、見る者に女性らしさや女性性についての自身の認識と向き合うよう促している。

2024年7月2日(火)にアルルの古代劇場にて行われる授賞式では、石内さん自ら作品を紹介しながら、歩んできたキャリアや、写真と社会全般における女性の地位についての考えを観客と共有する予定だ。

さらに同フェスティバルでは、石内さんの個展のほか、「ウーマン・イン・モーション」ラボより、レスリー・A・マーティンさん、竹内万里子さん、ポーリーヌ・ヴェルマーレさんのキュレーションによる日本の女性写真家の貢献に焦点を当てたグループ展「I’m So Happy You Are Here」を開催。

「ケリング」が支援している、日本の京都を拠点にした国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE」による「Transcendence」展も展開される。本展は、細倉真弓さん、岩根愛さん、鈴木麻弓さん、殿村任香さん、𠮷田多麻希さんの、親密なポートレートや心揺さぶる風景写真を展示。生き残りや自己表現のために写真というメディアを用いて、現実を超越し、独自の物語を切り開く女性たちの回復力、創造性、多様性を照らし出している。

text: Tomoe Tamura

KYOTOGRAPHIE(京都国際写真祭)で上海発アートユニットBirdheadの展覧会を開催~シャネル・ネクサス・ホール
TOMO KOIZUMIとK-BALLET TOKYOによる一夜限りのステージ『La Fête』をレポート!

関連情報

リンクを
コピーしました