ジェーン・バーキンの日記には何が書かれているのか?
2024.1.14
Pascal Le Segretain / Getty Images
11歳の頃から親友の猿のぬいぐるみに宛てて書き始めた日記『Munkey Diaries』を2018年に出版していたジェーン・バーキン。2023年7月、76歳で逝去後、永遠のファッションアイコンの素顔が垣間見られるその内容が、改めて注目を浴びている。
2024.1.14
Pascal Le Segretain / Getty Images
11歳の頃から親友の猿のぬいぐるみに宛てて書き始めた日記『Munkey Diaries』を2018年に出版していたジェーン・バーキン。2023年7月、76歳で逝去後、永遠のファッションアイコンの素顔が垣間見られるその内容が、改めて注目を浴びている。
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英メディア『Daily Mail』によると、ジェーンが11歳のときに叔父が福引で当てた猿のぬいぐるみ「マンキー」は、いつもジェーンのそばで眠り、彼女が愛した才能豊かな3人の男性、ジョン・バリー、セルジュ・ゲンスブール、ジャック・ドワイヨンとの生活もともにしてきたという。マリ・クレール インターナショナルのフランス版デジタル記事よりお届け。
2018年、当時71歳だったアイコン、ジェーン・バーキンは彼女のプライベートな日記をシェアすることを選び、第1巻はその年の10月に出版された。一部を抜粋する。
彼女は移動遊園地でこのぬいぐるみを手に入れた。それは彼女が11歳のときに手にしてから、そして、ずっと後の1971年、シングル「メロディ・ネルソン」のジャケットに登場させるまで、長い間そばに置いていた猿だ。彼女はそのガラクタのような親友に「マンキー」と名付けた。そして60年間、ジェーン・バーキンは「マンキー日記」の中で、自身の母国語(英語)で彼に打ち明けてきた。彼への言葉を、彼女の感情にできるだけ近づけるためだったに違いない。
ジェーンはセルジュ・ゲンスブールのことをよくマンキーに話していた。1968年1月に2人が初めて出会った日、彼が不愉快な言葉を3つ言ったとき、彼女は1ページまるまるそれについて書いた。セルジュはジェーンについて書く、彼女のために。ジェーンはセルジュのことを書く、自分のために。そして、彼の死がセルジュからジェーンを引き離したとき、ジェーンはマンキーからも離れることを選んだ。彼らを一緒に埋葬するためだ。しかし、彼女は互いに語り合うことをやめなかった。
ジェーンは、アイコニックで、フォトジェニックな2人(ジェーンとセルジュは70年代の伝説的カップルと言われた ※編集部注)について、読者に何も隠していない。2人の関係の悪化さえも。彼女は何よりも2人の気持ちの悪化を恐れている。私たちがこの日記の最初の数ページ(仏時事誌『L’Obs』2018年9月20日号掲載)を目にするとき、私たちの心に響くのは、率直なミューズのソフトでシャイな発言ではない。その言葉は生々しく、自分自身を破壊するように2人の関係を破壊する男、セルジュを前にして、ジェーンは強い。
「私は彼の愛の力、権威、優位性を拒否する。自分だけで生きることがどんなものかを知りたい。私は知る必要がある」。伝説のヴェルヌイユ通り5番地を出て、2人の娘、シャルロット(セルジュとの娘 ※編集部注)とケイト(ジェーンと作曲家ジョン・バリーとの娘で2013年に死去 ※編集部注)と一緒にホテルへ引っ越すことを決めた日の日記に、彼女はこう書いている。
「さあ、マンキー、あなたはすべてを知っている。(中略)セルジュとの生活がいかに耐え難いものになったか、彼の酩酊(めいてい)ぶり、そして彼の操り人形となった私……。アルコールは彼を別人のような恐ろしい人物に変えてしまった」と、いまや“ゲンスバール依存症”におびえるジェーンは告白している。
この絶望的な一節から、ジェーンが最悪の逃げ道を想像していたことがわかる。「そして、ときどき彼は言う。名声もお金もセレブリティも手に入れた今、唯一わからないのは殺すことだと。以前はそんなことは言わなかった。どんな結末を迎えるのだろう? そして、私は悲しいとき、本当に死にたくなる、彼の手で。どうしていけないの? 私は生きていくことの大変さにうんざりしている。いつも何もかも間違っているみたいだと思う。そして自分が脇に追いやられていることに気づき、今までと同じように他の誰かとゼロからやり直すことだってできると悟る。でも、もう一からやり直したくない。死んだほうがましだ……」
ほんの数行の間に、ジェーン・バーキンはセルジュを許すことがある。それ以上に、彼女は自分自身を責め、自分の状態に罪悪感を覚えている。「彼を責められない、彼のプライドを傷つけてしまった」と、一種のナイチンゲール症候群に悩むジェーンは走り書きする。セルジュへの愛は疑いようもないが、今、彼女は新しい男性に惹かれている。その男性の名はジャック・ドワイヨンで、彼との愛はもっとシンプルなものだと彼女は認識する。
詩的なイメージで、ジェーン・バーキンは矛盾する感情を前にした心の動揺を描写している。「そして今、私はここにいる。私はセルジュを傷つけすぎて、人生はもう決して元には戻らないと思う。そしてジャックは、悲しみに暮れながらも私の人生を求めている。そして片方を外せば足を滑らせ、もう片方を外しても足を滑らせ、両方とも外せば、転ぶ。それが私のいる場所なの」
(1991年セルジュが亡くなったとき、「ファラオ(古代エジプト王)のように棺(ひつぎ)に横たわるセルジュの腕の中にマンキーを残してきた。私の猿があの世で彼を守っているのだ」と記している ※編集部注)
いつか彼女は、この2つの愛の形、偉大なものと軽やかなもの、情熱的なものと健全なものを組み合わせることができるようになるのが理想だと考えている。「もしそれが可能なら、私の人生でもっとも幸せな瞬間となるだろう。もしセルジュがジャックを愛することができたら、たとえ2人が去ったとしても、2人が一緒になれるのだから、私は悲しまないだろう。そして彼らが幸せになることもわかっている」。この文章はすべて愛についてのものだ。真実の、献身的な愛だ。もっとも大切なのは、愛する人の幸せなのだ。
ジェーン・バーキン著『Munkey Diaries』(上巻、1957-1982)、Fayard刊、352p、22.50ユーロ(2018年10月3日書店発売)
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This article was originally published on Marie Claire FRANCE
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